エイシンフラッシュ“最強世代”3頭目の世界制覇へ

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“最強世代”3頭目の世界制覇へ、エイシンフラッシュが香港クイーンエリザベス2世Cに挑む 【写真:中原義史】

 昨春、オルフェーヴルが天皇賞で大敗し、騒然となった京都競馬場とは裏腹に、海の向こうの香港では多くの日本人が歓喜の声を上げた。もちろん、ルーラーシップの香港クイーンエリザベス2世C(QE2C)制覇に対してだ。そして、今年も日本からQE2C(4月28日)のタイトルを目指して遠征する馬がいる。2010年のダービー馬エイシンフラッシュである。
 奇しくも昨年のルーラーシップと同じ“最強世代”と呼ばれた一頭。この世代はドバイWCを制したヴィクトワールピサ、そしてルーラーシップの2頭が海外G1を制し、他にもダークシャドウ、トレイルブレイザーなど果敢に海外遠征を行う世代でもある。エイシンフラッシュも1年前にドバイ遠征を経験し、今回は2度目の海外挑戦だ。

史上最速の上がり、閃光のダービー制覇

ダービー史上最速の上がりで世代の頂点へと駆け抜けた 【スポーツナビ】

 エイシンフラッシュはデビュー2戦目で勝ち上がり、5戦目の重賞初挑戦となった京成杯でいきなりの重賞勝利。この時点で大器の片鱗を見せ始めていた。この後、皐月賞トライアルを予定していたが、熱発の影響で回避。ぶっつけ本番となった皐月賞では人気こそ落としていたが、中団から差す競馬で2着のヒルノダムールと差の無い3着に入線した。ただし、この時の勝ち馬であるヴィクトワールピサがあまりの強さだったことから、ダービーでの巻き返しは容易ではないと思われていた。

 ダービーではもちろんヴィクトワールピサが1番人気で、エイシンフラッシュは7番人気。しかし、人気の通りにいかないのが競馬だ。この年のダービーは前半の1200mが1分15秒1という異例のスローペースで、このユッタリとした流れがエイシンフラッシュの勝機となった。道中はいつも通りに中団から追走。スローペースでも掛かることなく、馬群の中でジッと辛抱していた。そして、スローペースもあり4コーナーでは全17頭が団子状態となる。こうなると最後の直線はヨーイドンの瞬発力勝負。強烈な末脚を持つエイシンフラッシュにとっては願ったり叶ったりの展開だ。直線半ばで馬群の隙間を縫って抜け出しにかかったエイシンフラッシュは、一気にギアをトップまで上げて瞬く間にゴール板を先頭で駆け抜けた。この時の上がり3ハロン32秒7はダービー史上最速だった。

 一躍、世代の頂点に登りつめたエイシンフラッシュ。この後は秋に凱旋門賞挑戦のプランも挙げられていたが、国内での競走に専念。国内でのさらなるG1制覇に期待がかかった。ところが、3歳の秋以降は好走こそしていたものの勝利に見放されて、惜敗が続いてしまう。気がつけば2年以上も勝つことができず、ダービー馬の威厳は失われつつあった。

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