グーカン・サキが地元トルコでKO勝利=グローリー

遠藤文康

場内のフラストレーションを吹き飛ばす完勝

サキ(左)が地元トルコの大会で見事KO勝利を飾った 【Ben Pontier/Glory】

 グローリーシリーズ第6弾がトルコのイスタンブールで開催された。地元出身のグーカン・サキがKOでダニエル・ギダを下しイスタンブール大会を締めた。
 両名は2010年12月のK−1で激突し、きん差でサキが判定勝利を得ている。その後、ギダは2012年1月にヘスディ・ヘルヘスをKOで破りイッツ・ショウタイムヘビー級王者に就任。鋭いフックでKOを重ね、昨年末には日本で開催されたグローリートーナメントで準優勝に輝きランキング世界2位に認定された。今大会の再戦はギダにとってはリベンジ、サキにとってはランキング入れ替え戦の意味がある。事前取材に応じて「私は周囲からサムライと呼ばれている。勝つためにトルコに来た」と冷静に語ったギダに対して、サキは「ギダは絶対に俺に勝てない。絶対に無理だ」と熱く叫んだ。
 大ブーイングの中を登場したギダはいつもの静かな表情で淡々とリングに向かった。一方、大声援を受けたサキは会場を大きく半周してリングイン。表情から見てテンションが高い。第2試合、第3試合に登場したトルコ人選手が立て続けにKO負けという結果に終わったため場内の空気はかなりへこんだものとなっていた。これでメーンのサキも負けたとなれば情熱的なトルコ人観客が何をしでかすか分からない。しかし全ては杞憂だった。

 結果はパンチラッシュでダウンを立て続けに奪ったサキが2ラウンド、レフェリーストップでギダを追い込んで完勝。場内のフラストレーションを一気に吹き飛ばし全観客にカタルシスを与えた。ギダにリベンジを許さずランキング2位の立場も得て、ランキング1位のシュルトへの挑戦権をもぎ取った。ただしシュルト挑戦がスムーズに行われるかどうかは定かではない。前回ロンドン大会でレミー・ボンヤスキーをKOに葬ったタイロン・スポーンもシュルト戦へ名乗りを上げている。シュルト戦の前にスポーンとサキの一戦が組まれる可能性は高い。

中東掌握の大きな布石となったトルコ大会

サキがKO勝利したことで、トルコの大会も大いに盛り上がった 【Ben Pontier/Glory】

 日本から参戦した安田巨輝はメーン第1試合。結果は判定で敗れた。セミファイナルにはファビアーノ・サイクロンが登場。しかし、ムラド・ボウジディの強烈な右ローにより左ヒザにダメージを負い、タオル投入による無念の敗北。サイクロンはヒザに爆弾を抱えているようだ。弱点は欧州勢への情報として共通認識されるので今後の戦いはますます厳しいものになる。

 アレッサンドロ・カンパーニャとアンディ・リスティの一戦は不可解判定。ほぼ全員がカンパーニャ勝利とみた。それが逆の結果に驚くカンパーニャと下を向くリスティ。リングサイドのテレビ解説者も理解不能という表情だった。前に出るリスティがオーソドックスなワンツーのストレートパンチを繰り出す相手を苦手とする姿はかなり意外であった。

 イッツ・ショウタイム73キロ級の“ラストエンペラー”ローシン・オーシー・オズニはマーク・デ・ボンテに顔面をヒザで打ち抜かれKO敗。せっかくのオーシーのメリットである長身を生かすことなく、相手のパンチを警戒し過ぎ丸い前傾姿勢でガードを固めた形が仇になった。77キロ級のオーシーが突然85キロへ階級を上げたことも難しかったのかもしれない。

 トルコでのイベント成功はグローリーにとって中東掌握の大きな布石となる。大会を失敗していれば中東掌握は断念していたかもしれない。イッツ・ショウタイムが開催を断念したトルコなのだ。それを無事成功裏に終えたことで今後もトルコ人ファイターを表に立ててトルコ大会を継続するだろう。欧州・中東・アメリカ・日本の4本マーケットを軸として世界展開を着実に繰り広げることになる。次回は4月20日イタリア・ミラノで開催される。

セミファイナルではサイクロン(左)が無念のKO負けを喫した 【Ben Pontier/Glory】

■グローリー6結果
4月7日(日)トルコ・イスタンブール

<ヘビー級>
○グーカン・サキ(トルコ)
(2R レフェリーストップ→TKO)
●ダニエル・ギダ(ルーマニア)

<ヘビー級>
ムラド・ボウジディ(チュニジア)
(2R2分03秒 タオル投入→TKO)
●ファビアノ・サイクロン(ブラジル)

<95kg>
○フィリップ・フェルリンデン(ベルギー)
(判定3−0)
●ルチアン・ダニレンク(イタリア)

<85kg>
○マーク・デ・ボンテ(ベルギー)
(1R1分17秒 左ヒザ→KO)
●ローシン・オーシー・オズニ(モロッコ)

<77kg>
○ニキー・ホルツケン(オランダ)
(延長4R ドクターストップ→TKO)
●カリム・ガイジ(フランス)
※右ヒザによる眼下底骨折

<70kg>
○アンディ・リスティ(スリナム)
(判定2−1)
●アレッサンドロ・カンパーニャ(イタリア)

<75kg>
○ジョセフ・ヴァルテリーニ(カナダ)
(3R0分28秒 タオル投入→TKO)
●ムラト・ディレキシ(トルコ)

<70kg>
○マックス・バウマート(ドイツ)
(1R2分40秒 右ハイキック→KO)
●イスマイル・ウズネル(トルコ)

<65kg>
○キム・ドンス(韓国)
(判定)
●安田巨輝(日本)
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