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カレンに与えられた前線での孤独な戦い
戦術的役割を果たすも逸機を悔やむ

代表DFが相手でも自信を持つカレン

カレンはフェイエノールトのオランダ代表DFを相手に好機を迎えるも、決めることができず無得点に終わった
カレンはフェイエノールトのオランダ代表DFを相手に好機を迎えるも、決めることができず無得点に終わった【Getty Images】

「ゴールを決めなくちゃ。しかし、われわれは良いサッカーをし、ビッグチャンスをいくつか作った。しっかり相手のラインの間を突く戦術をうまく実行し、ときおり私もうちのサッカーを楽しんでいた。今は複雑な気持ち」。

 フェイエノールトに0−1と惜敗したVVVフェンロのロクホフ監督はガッカリしながらも、この日のパフォーマンスには手応えも感じていた。


 VVVのフォーメーションは4−5−1。前線にカレン・ロバートひとりが残って、9人で守備ブロックを作る戦い方だ。カレンの周りにはダリル・ヤンマート、ステファン・デ・フライ、ヨリス・マタイセン、ブルーノ・マルティンス・インディといったオランダ代表のディフェンス陣が立っていた。彼らとの戦いにカレンが勝って、前線でボールをキープできないとVVVは防戦一方になってしまう。


 カレンとフェイエノールト守備陣の攻防は見応えがあった。カレンが相手を背中でブロックしながらトラップしたと思いきや、気付いたら体を入れ替えられてボールを失うこともあったが、巧みなボールキープも光っていた。


「空中戦とか、僕がボールを受ける前にちょっと体を当ててくる部分がうまいなあと思いましたね。バランスを崩させられた面がけっこうあって、ボールが落ち着かせられなかった場面もありました。でも全くできなかったことはないと思った。彼らはそんな速い印象はなかったので、動き出しとそこに出てくるボールさえ良ければいけるという自信はありました」(カレン)


 カレンにとって最初のビッグプレーは21分、右サイドからのドリブルでカウンターを仕掛けた場面だった。ハーフウェーライン近辺でカレンが加速すると、追いかけていたフェイエノールトの選手との距離が開き、中でフリーになっていたMFファン・ハーレンを見てクロス。しかし、ファン・ハーレンのシュートはGKエルビン・ムルダーが辛うじて指先に触れてCKになってしまった。26分には左サイドバックのジェフリー・ライバカベッシのクロスを、カレンが高い打点のヘッドでしっかり枠へ飛ばしたが、やはりGKムルダーが立ちはだかった。


 最も悔やまれるのは52分の逸機(いっき)。ファン・ハーレンが相手を一人外してカレンへラストパス。カレンがワンフェイク入れるとフェイエノールトのバイタルエリアが空き、絶好の位置からシュートを放ったが、左へ逸れていった。「ホント最後の部分で……。後半あったチャンスのところでミートできていれば」と試合後、カレンも悔やんだシーンだった。

「自分たちのサッカーで勝ちたい」

 試合は、フェイエノールトのエース、ラツィアーノ・ペッレの一撃で決まった。フィンランド代表としてスペインの攻撃を防ぎ続け、1−1の引き分けに貢献したGKニキ・マエンパーは、この試合も安定した守備をみせていたが、ペッレの豪快かつゴールの隅へ放たれたヘッドはさすがに届かなかった。このゴールでペッレは今季22ゴール目。外国でプレーするイタリア人としてはバイエルン・ミュンヘンに所属していた時にルカ・トニが記録した24ゴールに継ぐ、2番目の数字。


「(失点シーンは、クロスを上げたマタイセンに対して)僕が行こうか迷ったんですけど、さすがに距離的に行ってもな……と思ったら、良いクロスが入っちゃった。やっぱり持ってますよね、あのイタリア人。あの人がすごいから(フェイエノールトの攻撃はロングボールが多くなって)けっこう単調だった。だから、かなりうちも守れたんじゃないかなと思います」(カレン)


 一方、中盤に人数を割いたVVVはパスを回しながら、しっかりフェイエノールト陣内に入っていき、チャンスを作った。サッカーの内容は向上している。


「前みたくベタ引きして、一発じゃなくなった。 みんなもやりたいサッカーが少しずつですけどできて来ている。自信につながっているんじゃないですかね。それぞれ役割がだいぶ分かって来ている。何ができて、何ができないのか、みんなが分かるのでチームとして機能し始めているのかな。だいぶ終盤で遅いですけどね(苦笑)」(カレン)


 75分にこの日のカレンはお役御免。ロクホフ監督は大津祐樹、ヤニク・ウィルトスフット、ロラント・ベルカンプと3人のアタッカーを入れ、大津がマタイセンを抜いてシュートを放った場面はあったものの、チームとして猛攻を仕掛けるには至らなかった。


 これで5連敗となったVVVだが、この間のゴール数はわずか1点。フェイエノールト戦前もストライカーコーチを中心に、フィニッシュの精度を上げる練習を繰り返したが、実らなかった。


「このサッカーは良いんですけど、勝てないで疑問に感じて来ちゃうと気持ちのコントロールが難しくなってくる。次勝てばうちらが間違って無いということを見せられる。ちょっとプレーオフが見えて来ちゃってますけど、まだ(自動残留の)可能性があるので、それまでに自分たちのサッカーで勝っていきたいですね」(カレン)


<了>

中田徹
中田徹

1966年生まれ。転勤族だったため、住む先々の土地でサッカーを楽しむことが基本姿勢。86年ワールドカップ(W杯)メキシコ大会を23試合観戦したことでサッカー観を養い、市井(しせい)の立場から“日常の中のサッカー”を語り続けている。W杯やユーロ(欧州選手権)をはじめオランダリーグ、ベルギーリーグ、ドイツ・ブンデスリーガなどを現地取材、リポートしている

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