ダルビッシュ、26打者完全試合ドキュメント=あとアウト1つ…9回2アウトまでパーフェクト

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今季初登板で9回2アウトまでパーフェクトピッチングだったダルビッシュ、大記録まであとアウト1つだった 【写真は共同】

 レンジャーズのダルビッシュ有は4月3日(現地時間2日)、敵地でアストロズ戦に今季初先発し、9回2死までパーフェクトピッチングを継続。しかし、27人目の打者ゴンザレスにセンター前ヒットを打たれ、あと1人で完全試合を逃した。
 初登板のダルビッシュは8回2/3、111球を投げ、1安打無失点、奪三振数は自己最多「14」。今季の初先発を最高の投球で飾り1勝目を挙げた。
 試合は先制点、ダメ押しと効果的に得点を挙げたレンジャーズが7対0で大勝。チームとしても今季初勝利を飾った。

威力抜群のカットボール、スライダーで相手打線を翻弄

 日本人メジャーリーガー投手初の大記録が、目前でするりと手のひらからこぼれた。前の2打席を完ぺきに抑えていた9番・ゴンザレスに、初球の91マイル(146キロ)を計測したストレートを弾き返されると、打球はダルビッシュの足元を抜け、無情にもセンター前に抜けるヒット。この試合、111球目で迎えたパーフェクトピッチングの終焉だった。
「やっぱり、あそこまで行ったら最後までアウトを取りたかったですよね。でも、まあ、今まで完全試合をやってきたピッチャーに比べて、まだ何か足りなかったんでしょう」
 完全試合を逃した瞬間は思わず苦笑いを浮かべるしかなかったダルビッシュだったが、試合後のインタビューではさばさばとした表情。そして、いい思い出になりましたよ、と気落ちした様子もなく笑顔を交えて答えた。

 この試合、とにかくスライダーが勝負どころで面白いように決まった。自己最多を更新する14の奪三振のうち、実に12個がスライダーによる三振。序盤こそフルカウントにしてしまう投球も目立ったが、この苦しい場面をことごとく立ち切ったのがスライダーだった。「3ボール2ストライクになってもスライダーを振ってくれたのが良かった」と、本人も振り返ったとおりだ。
 そして、この日の投球でダルビッシュ自身が一番良かったと語ったのが、カットボール。「きょうはフォーシームをほとんど投げていないんですが、カットボールに球威がありましたね。それが良かったんだと思います」。この威力抜群のカットボールでどんどん打者を追い込み、最後は切れ味最上級のスライダーでアストロズ打線をキリキリ舞い。そのあまりにも見事な投球術に、ベンチに引きあげるたびに沸き起こっていた敵地のブーイングも、最後には拍手と大歓声に変わっていた。

今季初登板、エースとしての存在感をアピール

 メジャー2年目、今季初登板を究極の形とまでは行かなかったものの、最高に近い形で1勝を飾ったダルビッシュ。あとアウト1つで完全試合を逃した“ビッグゲーム”直後のざわついた雰囲気の中でも、当の本人はすでに冷静さを取り戻したような表情で、チームの勝利を喜んだ。
「チームの1勝目ですが、こういう積み重ねが大事だと思います。今後どんどん勝っていきたいですね。自分としてはケガなく1シーズン投げられるように、しっかりと体調管理をしていきたいと思います」
 エースとしての存在感を十分すぎるくらいにアピールした今季初登板。チームとしては打線弱化もささやかれる中、ダルビッシュが頼れる『投の大黒柱』としてチームを2年ぶりの地区V奪回へと引っ張っていく。

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