藤田俊哉、三浦淳寛が分析する敗因と課題=ヨルダン戦は何がいけなかったのか
遠藤(中央)が痛恨のPK失敗。取るべきときに点を取れなかったことが最後まで響いた 【写真は共同】
ホームでは6−0と圧勝したヨルダンに痛い敗北。その敗因はどこにあったのか。そして今後の日本代表に求められることは何なのか。元日本代表としてW杯予選を戦った経験を持つ藤田俊哉氏と三浦淳寛氏に話を聞いた。
藤田俊哉(元日本代表)
0−2という状況を招いてしまったことがすべてだったと思います。嫌な時間帯に自分たちのミスでセットプレーから失点してしまいました。前半から日本は多くのチャンスがあったんですけど、点を取り切るところで取り切れませんでしたからね。それが結果的に自分たちの首を締めてしまいました。前半終了間際の失点によって、試合のビジョンを失って慌てざるを得なくなったという印象です。「ヨルダン戦で決めないといけない」とプレッシャーがかかっていたのかもしれません。
(アルベルト・)ザッケローニ監督はやるべきことはやったと思います。2点リードされて、すぐにハーフナー(・マイク)を投入して、1点差に追い上げた。遠藤のPKが入っていたら、そのまま押し切れた可能性は高かった。勝負のあやはささいなことで変わりますからね。長い最終予選では初めての敗戦になりますけど、いずれにしてもまだアドバンテージはあります。ただ、ザッケローニ監督にとってはこの試合でW杯出場は決めたかったはず。6月の試合で新戦力の発掘もできただろうし、違ったオプションを試すこともできたんです。そう思うと、やっぱりもったいなかったですね。それでも結果は結果として受け止めないといけない。
今後の課題としてはやはりセットプレーで簡単に失点をしないことでしょうね。アジアでは押し込むことが多くなると思うんですけど、そこでいかに決め切るか。勝負どころを逃さないことが重要になってくると思います。日本の強みはサイドです。ヨルダン戦でも内田(篤人)が背後を突いて、PKを獲得しました。ああいう動きを根気よく続けること。そしてサイドにいかに効率よくボールを動かしていくかが、カギになってくると思います。
今回の試合で出場権獲得はなりませんでしたけど、本大会への出場が決まったらザッケローニ監督には、いろいろな選手を試してほしいですね。ヨルダン戦は負けはしましたけど、割といい感じにチームは機能していたと思います。そこまで悪い出来ではなかったので、選手には今後もさまざまなプレーに挑戦してもらいたいです。ザッケローニ監督にはセットプレーの改善や、攻守における評価をしっかりと見極めてほしいと思います。新戦力では鹿島アントラーズの柴崎(岳)の選出に期待したいですね。代表でどういうプレーをするのかぜひ見てみたい。やはり若い選手の台頭が望まれます。
あとは選手たちが自分たちでどうレベルアップを遂げていくかにかかっていると思います。予選は突破すると思うので、本大会を視野に入れながらどうチームを作っていくべきなのか。今回は本田(圭佑)と長友(佑都)が不在でしたが、6月の次の試合に向けてこれ以上けが人を増やさないように自分のチームでトレーニングを積んでほしい。それがグループの総合力アップにつながっていくと思います。負けたからと言って暗くなってもしょうがない。力強く前に進んでいってもらいたいです。