カール・ルイスが被災地に伝えたいこと=東北スポーツサミット2013報告会見

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「五輪でメダルを」の言葉に子どもたちから笑顔

「挑戦をし続ける大切さを伝えたい」と語ったルイス氏(右) 【スポーツナビ】

――世界記録を塗り替えることで不可能を可能にしてきた者として、東北の人たちにかけたい言葉は?

ルイス氏「記録を作るときは人々が支え合っていくということが大切です。私とマイクが競い合っていたころ、“このレベルで戦うことはできない”と諦める選手もたくさんいましたが、マイクは決して諦めませんでした。このことをまず子どもたちに教えなければいけません。やめるのは簡単なことです。しかし、私がスプリント系も跳躍系も同時にトレーニングをしていたのは、どの種目でメダルを取れるか分からなかったからです。挑戦をし続ける大切さ、それが私が若い方々に最も教えたいことです。やり切ったのなら決して後悔しませんから」

バンクス氏「私は米国の若者と話す時、成功に導く3つのことを話します。まずは、目標を持ち、何よりもこれをしたいという思いを持つことです。これを今の日本に置き換えるとどうやって日本の素晴らしさを取り戻すか、目標を設定するということです。2つ目は忍耐です。日本ほど忍耐力のある国民性は見たことがありません。きっと皆さんがよく知っていると思います。最後は、覚悟するということ。忍耐力と違うのは、自分自身を鼓舞できるということです。もし、あなた方が国として覚悟を決めたのであれば、同じレベルにとどまるのではなく、さらなる高みを目指すべきです」

パウエル氏「私がコーチとして指導する時、目標を持ち、それに向かって行動するように伝えます。私が現役のころ、『カール・ルイスを破って世界記録を作りたい』と言ったら周りは笑っていましたが、私は本気でした。次に、目標に向けてプランを立てるよう伝えます。私も、学生時代、ウィリー・バンクスから何を食べるべきかとか、どんな練習をすべきか学びました。そしてよく練習し、最後は自分自身を信じることです」

為末氏「もし世界レベルの選手になりたいなら、そういった選手と触れ合う機会を作ることです。私も10歳の時にウィリー・バンクスを見たことで刺激されました。また、五輪でカール・ルイスが走るのを見た時、そのスピードに衝撃を受けて、私も五輪に行ってメダルが欲しいと夢見るようになったのです。特に子どもは先入観がないので、『僕もできる』と信じやすい。世界的アスリートを良きロールモデルとして、子どもたちには何かを感じとってもらいたいと思っています」

――この度の東北の訪問を通じて、スポーツにできることは何だと思うか?

バンクス氏「ここにいるのは、ヒーローが若者に何を与えることができるか分かっている4人です。今回はコーチやアスリートにも刺激を与えたいと思いましたし、彼らには良きロールモデルとして、若者がより良いアスリートに、そしてチャンピオンになってもらう指導をしてもらいたいと考えています。私たちは東北の子どもたちと集まって『チャンピオンになるぞ!』という言葉を繰り返しました。これは、コーチやアスリートたちに考えてもらいたいことです。そうすることで、チャンピオンになることを考え始めるからです。指導している中で東北の子どもたちが笑顔になるのを見て、私たちはものすごくスペシャルなことをやっているのだと分かりました。マイクが最後に『20年に東京五輪でメダルを取る姿が見られますね』と声を掛けたら、若いアスリートのみんなから笑顔がこぼれました。素晴らしい瞬間でしたね」

<了>

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