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オランダの攻撃に違いを生むヤンマート
著しい成長見せるサイド制圧のキーマン

W杯出場権獲得へ、オランダが5連勝

クラブ、代表ともに目覚ましい活躍を見せるヤンマート。サイド攻撃を真骨頂とするオランダのシンボルとなれるか
クラブ、代表ともに目覚ましい活躍を見せるヤンマート。サイド攻撃を真骨頂とするオランダのシンボルとなれるか【Getty Images】

 22日、ワールドカップ(W杯)ブラジル大会の欧州予選が各地で行われ、グループDのオランダはホームでエストニアを3−0で下し、5連勝を飾った。この日は2位ハンガリー対3位ルーマニアの試合が2−2に終わり、ともに勝ち点10に留まり、勝ち点15のオランダはW杯本大会出場権を争うライバルに大きく差を付けた。


 エストニアの固い守備の前に、前半のオランダは無得点と攻め倦(あぐ)んだ。しかし、右サイドバック(SB)、ダリル・ヤンマート(フェイエノールト)のアシストから47分にファン・デル・ファールト(ハンブルガーSV)が、72分にロビン・ファン・ペルシ(マンチェスター・ユナイテッド)がゴールを決めて勝負はついた。


 エストニアを破る上で、ヤンマートの好パフォーマンスは欠かせなかった。エストニアは守備にアクセントを置いた4−4−2。オランダは従来通り、攻撃にアクセントを置いた4−3−3だった。オランダにとっては常にヤンマート、ダレイ・ブリント(アヤックス)の両SBがフリーになる噛み合わせだ。しかもエストニアはオランダのサイドアタッカー、イェレマン・レンス(PSV)とアリエン・ロッベン(バイエルン・ミュンヘン)に2人のマークをつけていたから、なおさらオランダのSBはフリーになる。ここを起点とした攻撃から、オランダは誰かが“相手チームとの差”を作らなければいけなかったのだが、フェイエノールトでも好調なヤンマートがその役割を担った。

代表でもクラブでも存在感を増すヤンマート

 1点目は、ペナルティーエリア内で相手DFに尻餅をつかせたヤンマートのカットインドリブルから生まれた。これは彼の好調さを表すプレーで代表チームでも、フェイエノールトでも存在感を増すヤンマートは、17日のエールディビジ第27節のユトレヒト戦でも相手のボールをカットしてからバイタルエリアに向かって猛突進。ルベン・スハーケンとのワンツーからチームを2−1の勝利に導く決勝ゴールを決めていたのだ。チームが苦しいとき、自らイニシアチブをとったプレーで、試合の均衡を破ろうというヤンマートの強い意志。これがユトレヒト戦とエストニア戦の重要なゴールにつながった。


 2点目は理詰めによるもの。右サイドの裏に抜け出たレンスが、マークを2人引きつけた。この日のマッチアップで解説した通り、こうなれば必ずヤンマートはフリーになる。しかも、その形がビルドアップではなく、最後の打開の場面で生まれたのだ。あとは正確なクロスをヤンマートがゴール前に入れるだけ。フリーになったファン・ペルシがボレーで決めた。


 この1点目と2点目の合間にも、ヤンマートは決定的なクロスを入れて、ファン・ペルシに絶好機をお膳立てしていた。試合後の記者会見で、ヤンマートの成長についてファン・ハール監督がコメントを求められたのも当然だろう。しかし、何を今さらと言わんばかりに、指揮官は少し憤慨し、「ヤンマート……。ヤンマートを代表選手に選んだとき、みんなは笑ったんだ」と語り、次の言葉を探していた。

好パフォーマンスに指揮官も太鼓判

 今回のW杯予選の初戦、トルコ相手の重要な試合でファン・ハール監督はヤンマートを右SBに抜擢(ばってき)したが、低パフォーマンスに終始。チームは2−0と完封勝ちしたものの、その後の右SBの序列はリカルド・ファン・ライン(アヤックス)が上に立った。しかし、2月のイタリアとの親善試合(1−1)でヤンマートは素晴らしいプレーを披露。エールディビジでも、快進撃を続けるフェイエノールトのシンボルのひとりになっている。


「エストニアは2トップで、しかもヤンマートの上がった背後を突いてこなかった。これが3トップだったら違ったかもしれないが、私もヤンマートの成長を喜んでいる」(ファン・ハール監督)

 

 3点目は84分、ロッベンのクロスから、スハーケンが決めたもの。エストニアは陣形をコンパクトに保ちきれず、オランダの左右のウインガーが決定的な仕事を果たした。


「前半は、後半のための投資作業だった。われわれはエストニアを走らせ、疲れさせた」(ファン・ハール監督)


 あとは、ウインガーとSBが作ったスペースを突いて、MFケヴィン・ストロートマン(PSV)がもっと相手DFの裏へと抜けて走る回数が増えたら、もっと点差がついただろう。


<了>

中田徹
中田徹

1966年生まれ。転勤族だったため、住む先々の土地でサッカーを楽しむことが基本姿勢。86年ワールドカップ(W杯)メキシコ大会を23試合観戦したことでサッカー観を養い、市井(しせい)の立場から“日常の中のサッカー”を語り続けている。W杯やユーロ(欧州選手権)をはじめオランダリーグ、ベルギーリーグ、ドイツ・ブンデスリーガなどを現地取材、リポートしている

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