3連覇狙う大阪桐蔭は森主将のリードがカギ=センバツ見どころ

松倉雄太

他校も見とれた大阪桐蔭の甲子園練習

昨年、大阪桐蔭高の連覇に攻守に貢献した森友。今春は主将として史上初の3季連続優勝を狙う 【写真は共同】

 第85回記念選抜高校野球大会が22日に開幕する。それに先だって17日から4日間に渡って出場36校の甲子園練習が行われ、選手たちはグラウンドの感触を確かめた。
 今大会は史上初の3季連続優勝を目指す大阪桐蔭高(大阪)、秋の日本一に輝いた仙台育英高(宮城)といったチームの主力に甲子園経験豊富な選手が残る。ほかにも、済々黌高(熊本)、県岐阜商高(岐阜)、北照高(北海道)、敦賀気比高(福井)などはエースが甲子園で苦い思いを味わって一回り逞しく成長してきた。
 どのチームが本番で力をつけ頂点に立つのか。戦力拮抗の記念大会の見どころを探る。

 他校の選手も見守る中、公式練習で特に目を引いたのが大阪桐蔭高と北照高だ。
 大阪桐蔭高は場を知り尽くしている森友哉主将を中心に大きな声ときびきびとした動きが圧巻だった。その姿には直前に練習を終えたばかりの安田学園高(東京)ナインが見とれるほど。チームも、1月に右足小指を骨折して出遅れていたエースの葛川知哉がほかの投手と一緒にマウンドでピッチングを行った。走り込みが中々できずに、プルペンで投げだしたのも3月に入ってからとのことだったが、ギリギリで間に合った感じ。本人もホッとしたような表情を浮かべ、「大会7日目が初戦で自分にとっては良かった」とコメント。本格派右腕の高西涼太、左腕・網本光佑とともに三本柱が復活した。ただし、昨年の藤浪晋太郎(現阪神)のような絶対的な柱になる投手がいない上に、大会前日の登録メンバー交代で、チーム屈指の長距離砲である4番・近田拓矢が右手首の骨折からメンバーを外れた。選手層の厚い同校とはいえ、投手陣にかかる負担は大きく、捕手・森友のリードと、ブルペンで球を受ける副主将の久米健夫の役割が非常に重要となってくる。

将来の大投手を予感させる済美・安樂

 北照高は走塁に時間を割いた。河上敬也監督もバッターボックス付近に立ち、様々な局面を想定した練習は引きつけられるものがあった。チームのエースである大串和弥は一塁けん制が得意ということもあり、投手の心理をいろいろと聞きながら走塁を追求していると吉田雄人主将は胸を張る。主力の大部分が昨年のメンバーでもあり、経験を生かして今年こそ頂点を狙う。

 個人で圧巻だったのが済美高(愛媛)のエース・安樂智大。新2年生という若さは垣間見られるものの、ダイナミックなフォームから最速152キロを計測するという直球の威力は、噂に違わぬものだった。さらに驚かされたのはその姿勢。「初戦であたる広陵高(広島)の下石(涼太)さんは、変化球がとてもすばらしく、チェンジアップやフォークなど自分が参考とする部分が多々あります」とコメント。普通の感覚ならば対戦相手の映像を見ると、ウイークポイントを探るところだが、安樂はまず選手のすばらしい所を発見して少しでも自分の参考としたいという志が将来の大投手を予感させられる。

打撃戦に持ち込みたいいわき海星

 大会2日目の第1試合で史上初の21世紀枠同士の対決が実現する。一昨年、昨年と2年続けて夏の北北海道大会準優勝、昨秋の全道大会はベスト4とあと一歩に泣き続けてきた遠軽高(北海道)は悲願の甲子園。1試合平均10.5安打、3割1分のチーム打率が示す通り打撃のチーム。エースの前田知輝、左の鴨野崇希、2年生の大城祐樹の3投手をどのように使うかがポイントになりそう。
 一方のいわき海星は部員16人。卒業したばかりの昨年のメンバーが甲子園練習を手伝った。エース左腕の鈴木悠太はサイドハンド気味で、打者にとっては打ち難い投手。打線は甲子園練習でバットが振れている選手が多く、ある程度点の取り合いに持ち込めば好勝負が期待できる。

 その他21世紀枠出場は益田翔陽高(島根)と土佐高(高知)。昨夏の甲子園で本塁打を放った園部聡が4番に座る聖光学院高(福島)と対戦する益田翔陽高。昨秋は島根県大会初戦で1つ失策を犯しただけで、以降5試合連続で無失策と守備に自信を持つ。エースナンバーの柳井祐斗、背番号10の寺戸雅彦の二枚看板に加え、背番号11の2年生右腕・合津光貴も甲子園練習で力のある球を投げており、最少失点で守り合いに持ち込みたい。

 関東3連覇の浦和学院高(埼玉)に挑む土佐高は、エース・宅間健翔が秋の大会で腰痛による満身創痍の状態で投げていた。不安の癒えた今では秋とは比べものにならないくらいの状態だという。力勝負では苦しい戦いが予想されるが、オールドファンや大応援団をバックに早く主導権を握りたい。

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著者プロフィール

 1980年12月5日生まれ。小学校時代はリトルリーグでプレーしていたが、中学時代からは野球観戦に没頭。極端な言い方をすれば、野球を観戦するためならば、どこへでも行ってしまう。2004年からスポーツライターとなり、野球雑誌『ホームラン』などに寄稿している。また、2005年からはABCテレビ『速報甲子園への道』のリサーチャーとしても活動中。

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