ザック監督「本田と長友の不在は痛手」=カナダ戦、ヨルダン戦メンバー発表会見

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「コンディションが良い選手を選ぶ」

本田と長友が不在だが、ザッケローニ監督は代わりにそのポジションを務める選手に期待を寄せた 【スポーツナビ】

――本田の代役は中村と香川、どちらがファーストチョイスか?

ザッケローニ監督 2人ともタイプが異なると思っている。憲剛はよりMFタイプで中盤にバランスをもたらしてくれる選手だと思っているが、香川についてはよりセカンドトップに近いプレーヤーなのだと思う。試合までもう少し時間があるので、少し検討したいと思うし、カタールの合宿期間中にいろいろ見ていきたいと思うが、普段本田が担当しているトップ下を誰にするかについては、左右の2列目の構成をどうするかが大きく影響してくる。

 当然、このチームのコンセプトとして常に「勇気とバランス」ということを言ってきたが、このバランスのところで両サイドアタッカー、私はこのポジションをMFではなくアタッカー(FW)だと思っているので、このサイドのFWの構成を見ながら、2列目の3人を決定したい。おのおののコンディションや調整を見ながら、この構成を決めていきたい。

――原委員長、長友についても今回は間に合わないという判断だったのか?

原委員長 クラブとも連絡をとって、良くはなっていることを確認しています。当然、(負傷してから)時間もたっているし、トレーニングもやれるようになっていると聞いていますが、これだけの期間試合から離れている。今週末もメンバー入りするのは難しい状況だと聞いていますので、それも含めて今回は呼んでいないということです。

――本田と長友という、これまでチームを引っ張ってきた選手の不在について、監督はどう思うか?

ザッケローニ監督 まずこの2選手に関しては、私も非常に高く評価している。しかし彼らの代わりに入ってくる選手が活躍してくれるだろうという思いは強いし、これまでも長友や本田が予選期間中にいなかったことがあるが、代わりに入った選手が見事な活躍をしてくれている。だからコンディションが良い選手を重点的に選んだほうが良いのではないかという結論に至った。

――本田が不在の場合、代表の勝率が落ちているが、それをどう打開していくのか。それから野球のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)が日本でも話題になっているが、サッカー文化が根強いイタリアの監督としてこの状況をどう見ているか?

ザッケローニ監督 本田が他の日本人選手と違っているところは、技術レベルの他にフィジカルの強さを挙げられると思う。当然、本田のポジションに入る選手に関しては、本田と同じ特徴を持っているわけではない。ではどう考えるかといえば、その選手の特徴を最大限に生かせるようなやり方をさせていかなければならない。本田がいない日本代表は勝率が良くないということだが、そこは実力もさることながら、(周囲との)慣れの問題もあると思う。

 日本のスポーツ文化についてだが、2年前に就任してから言っているのは、私自身、スポーツ以外の日本の文化全体を受け止めながら、自分のサッカー観を持ち続けたいということ。日本のスポーツ文化は尊重していきたいということは言ってきたし、実際に尊重している。野球がこれだけ根強い人気があるのは素晴らしいことだと思う。当然、野球のほうが歴史は長いわけで、大衆の興味をひくのも理解しているが、それに対しては素晴らしいの一言だと思う。サッカーも野球に取って代わる存在というよりも、野球があってサッカーも同じように日本のスポーツ文化として一緒に成長していければ良いと思っている。

「バランスを大切にしながら戦っていきたい」

――予選突破が大きな目標だが、長い合宿があり、カナダ戦のあとに2日間のトレーニングをドーハで行うことになっているが、やはり現地に慣れているからか。それと五輪予選の時にヨルダンを訪れているが、その時の印象は?(河治良幸/フリーランス)

ザッケローニ監督 ドーハでの合宿を選んだ理由だが、まずは中東でのアウエー戦の前では現地で合宿してきたし、やはり環境に慣れていること。それに、トレーニング環境についてもわれわれに必要なものがそろっていること、気候についてもこの時期は良いということ。もしヨルダンの試合が行われるグラウンドで合宿期間中にトレーニングができるというのであれば、そこでやっても問題ないと思っていたのだが、それができないということで今回はドーハでの合宿を選んだ。

 ヨルダンの印象については、五輪代表の視察でまさにその(今回試合をする)スタジアムに行ったのだが、ピッチコンディションはお世辞にもいいとは言えないものだった。今回は、その時と比べて良くなっていることを祈るしかない。国としての印象については、ほとんど1泊しかしていないので、街の印象を語ることはできないが、死海は遠くから眺めた。日差しがあるときは暑いが、日陰は随分涼しかったことを覚えている。

――これまで選手起用で組み合わせを重視してきたが、本田と長友がいないことでの不安材料はあるか?

ザッケローニ監督 これまでもチームとして勇気とバランスを重視してきて、より多くの得点とより少ない失点というところで、実際に結果も出てきていると思っている。この2人の選手の不在についてだが、彼らは国際試合での経験も豊富なだけに当然痛手にはなるが、現在のチームのバランスを崩さないように、代わりに入る選手をうまく使っていきたいと思うし、次の試合でも攻守ともにバランスを大切にしながら戦っていきたいと思う。

――直前のカナダ戦では、本田の代わりに中村と香川を半分ずつ使うとか、長友のところを駒野と酒井高で半分ずつ使うといったことを考えているのか。またヨルダン戦についてだが、ピッチ状態の悪さに加えて五輪予選でもいい思い出がないが、そこで勝利するためには何が必要だと考えるか?(元川悦子/フリーランス)

ザッケローニ監督 カナダ戦については、ヨルダン戦に向けた準備、あるいはヨルダン対策というよりも、選手たちのコンディションをできるだけ高い精度で把握したいと思っている。当然、選手全員を使えるわけではないのだが、少なくともここでコンディションを把握した上でヨルダン戦でコンディションの良い選手をピッチに送りたいと思っている。

 ヨルダン戦で勝つためには、チームとして相手を上回るということ。自分たちの特徴を最大限に出していくことだと思う。この2つに関しては、今回の試合に限らず、いつも準備するときに考えていることだ。われわれの長所が出るときというのは、チームとしてのリズム、回転数が高いときにそういう傾向が強い。チームとしてリズムが落ちてしまうと、相手がどこであろうと苦労してしまう。そこは注意していきたい。では、回転数を上げる、リズムを保つにはどうすればよいかというと、コンディションが良いことが不可欠だ。カナダ戦はそのために使っていきたい。

――原委員長、本田のけがについて、左足のひざなのか、足首なのか、具体的に教えてほしい

原委員長 本田に限った話ではないが、代表選手というのは代表に来たときには(けがの状況を)言えます。しかし、所属チームで今どこをけがしているとか、どういう状況なのかとか、そういう情報はクラブのほうから発表しないと、こちらから「こうです」ということは言えないんです。ドクター同士、トレーナー同士ではしっかり連絡を取り合っているので、申し訳ないですがこっちからは言えないんですね。

<了>

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