これぞ侍野球! 終盤逆転に見たオランダ戦への期待=佐野慈紀氏が解説

構成:スポーツナビ

侍ジャパンが劇的逆転勝利! 終盤の攻撃に次戦オランダへの期待も高まった 【写真は共同】

 ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の2次ラウンド1組が8日、東京ドームで開幕し、日本代表は台湾代表を相手に延長戦にもつれ込む苦しいゲーム展開ながらも、中田翔(北海道日本ハム)が決勝犠飛を放ち、4対3で逆転勝ちした。

 スポーツナビでは、かつて近鉄バファローズなどでセットアッパーとしてフル回転した野球解説者の佐野慈紀氏が、大接戦となった日本vs.台湾戦をズバリ解説。終盤の大逆転劇で光明が見えてきた侍ジャパン打線への今後の期待と課題、そして、賛否両論が分かれた8回表無死一、二塁での糸井嘉男(オリックス)の送りバントの作戦について語ってもらった。

各打者はもっと自分のスイングの徹底を

 きょうの試合は、侍ジャパンの志の高さというか、質の高さというか、二枚腰、三枚腰で最後まで戦ってくれたのは感謝の言葉を並べたい。これぞ侍ジャパンだなと思える素晴らしい試合でした。

 まだ打線は苦労すると思いますし、この後、まだまだいいピッチャーが出てきます。ただ、今回の試合で各自が役割を果たせると分かったから、次の試合も期待ができると思います。
 打順に関してはクリーンナップは動かさない方がいい。中田選手の打順もあそこにいることが怖いと思うので、動かさない方がいいと思いますね。あとはピースを代えるだけでいいと思います。長野選手もこのまま終わるわけないと思いますから、きっかけ1つ出れば大幅に変わっていくと思いますよ。

 一方できょうのゲーム、侍ジャパンはヒット13本ですか。ほとんどセンター中心から右方向に打っていましたが、これはつなぐ意味では大事ですけど、もっと自分のスイングをしっかりすることを徹底した方がいいかなと思います。きょう一番良かったのは終盤になって、選手の集中力が高まったのもありましたが、狙い球を絞れたこと。結果としてこれが得点につながっていったので、これをもっと序盤からやっていければ、もっと楽に勝てると思います。

 次以降はもっと険しい道のりだと思いますけど、力はあるわけですから、力の出しどころの見極めを首脳陣が引き出してあげることも大事だと思いますし、勢いに乗れるときはどんどん乗って行けばいいと思います。また、選手自身もまだちょっと遠慮がちかなと思うので、もっと躍動感を出してもいいと思います。

8回糸井のバント作戦は消極的だった

 8回表無死一、二塁から糸井選手がバントした場面ですが、僕の考えで言いますと、主砲の阿部選手がタイムリーを打ってチームが勢いづいたので、あそこは一気に行ってほしかったですね。確かに確実にランナーを進めてビッグイニングつくりたい気持ちはわかりますが、今大会で自分のスタイルでしっかり打てているバッターが次の打者でしたから、ちょっと僕としては物足りないなと感じました。
 結果、バントが成功したとしても、逆に僕はビッグイニングを作りにくかったのではと思いますね。やはり、日本が押せ押せのときでしたし、台湾のピッチャーもふわふわしてるときにアウトを1つくれるというのは、ピッチャーにとって楽なんです。そういう部分では消極的だったと思います。

 10日のオランダ戦ですが、オランダが勝った試合はどの試合も打ち勝っています。やはり相手打線を注意して戦うことがポイントになるでしょう。オランダは台湾や韓国みたいに、日本と同じような粘り強さはありません。ですので、とにかく先制点を取ってゲームの主導権を取ること。もちろん、オランダの打者はパワーがありますので長打を警戒しないといけませんが、だからといって投手陣には窮屈な投球にならないよう気をつけてほしいですね。

<了>

■佐野慈紀(さの・しげき)

近鉄、中日などで主に中継ぎとして活躍。米独立リーグなどでプレーし、振りかぶった際に帽子を飛ばす「必殺てかてか投法(ぴっかり)」で場内を湧かせた。現在は野球解説者として活躍中。
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