台湾は状態・勢い◎、侍ジャパン1点勝負と心得よ=橋本清氏が解説

構成:スポーツナビ

チャンスで1本が出ない打線、4番・阿部の前後に工夫が必要

WBC1次ラウンドは2位通過となった侍ジャパン、2次ラウンド初戦の相手・台湾は強敵だ 【写真は共同】

 今回のキューバ戦は、打者陣がチャンスを作っても打てなかったということですね。最終回の攻撃がもっと早い回で見れていれば、まだまだ勝機はあったんじゃないかなと思います。

 2次ラウンド以降のオーダーに関しては、やはり1番打者に勢いのあるバッターを持ってきてほしいですね。そう考えると、やはり坂本でしょうか。長野はきょうの試合の最後に1本ヒットが出ましたけど、野手の間を抜けなかったところでまだ勢いが足りていない気がします。ただ、ヒットはヒットなので長野はあの1本で切り替えてくれると、本来の右に強い打球が甦るかなと思います。
 山本監督には選手の実績とかで追いかけすぎないで、東京ラウンドでは1番に坂本だったら坂本で徹底してほしい。監督の迷いは選手に伝染しますし、首脳陣の迷いが見え隠れした福岡ラウンドだったように思いますね。

 阿部選手に関してですが、当たりが出ていないし、全部背負ってしまってる部分があるが、阿部を柱で行くと決めたのなら、そこをいじっちゃうと全部動かさないといけなくなる。そこは慎之助に任せたと心中する気持ちなら、そこの部分に関してはそれでいいかなと僕は思います。4番に関しては周りが納得できると思う。ただ、前後の工夫は絶対に必要かなと思います。

マー君の球自体は悪くない、あとは自信を持って

 投手陣に関しては、先発の大隣投手も頑張りましたし、田中投手もいきなり1点は取られましたが、その後の回が良かった。また各自いいものは見せてくれましたので、敗戦は悔しいけれど、気を引き締めて東京ラウンドで巻き返してほしいですね。
 きょうの一番の注目ポイントは、田中マー君がどうかというところでした。いきなり簡単に1点を取られはしましたけど、その後のボールの質が良かったし、あとは本人がどう切り替えていくかでしょう。「大丈夫なのか?」という報道でいっぱいですが、ボール自体は決して悪くない。自信持って投げてほしいなと思います。
 また沢村投手にしても、きょうの場面は展開的にキューバに流れがいきそうだったから、その流れを止めるという役割だったはず。同じような場面で投げる機会はきっとまた来るでしょうから、次はしっかり押さえてほしいなと思います。

 さて、2次ラウンドの初戦の相手が台湾に決まりましたが、厳しいゲームになるなというイメージですし、負けたら終わりの覚悟で戦ってほしい。とにかく1次ラウンドで見せた台湾のゲーム内容がいいですからね。先発が予想されるワン・チェンミンは、低めのシンカー、スライダー、チェンジアップが素晴らしかったですし、連打が見込めない投球でした。1点勝負、ワンチャンスをものにするという集中力を高めていかないとダメですね。台湾は本当に勢いがあるし、投打の軸がしっかりしていますし、いい状態です。日本とは全く違う状態ですから。

■橋本清

立浪和義らとPL学園で甲子園春夏連覇。巨人時代は「勝利の方程式」のセットアッパーとして活躍した。

<了>
  • 前へ
  • 1
  • 次へ

1/1ページ

著者プロフィール

スポーツナビ編集部による執筆・編集・構成の記事。コラムやインタビューなどの深い読み物や、“今知りたい”スポーツの最新情報をお届けします。

新着記事

スポーツナビからのお知らせ

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント