今季のJリーグを彩るブレイク必至の若手
世界レベルの潜在能力を発揮できるか

着実に成長を遂げている“小さな重戦車”

昨年ブレイクした石毛は今季、主軸の1人として新シーズンを迎える
昨年ブレイクした石毛は今季、主軸の1人として新シーズンを迎える【Getty Images】

 いよいよ2月23日のゼロックススーパーカップを経て、3月2日にJ1リーグが、3月3日にJ2リーグが開幕する。待ちに待った新シーズン。今年のJリーグは誰が躍動し、どのチームが奮闘、苦闘をするのか。開幕を待ちきれない今、今季ブレイクが期待されるヤングプレーヤーにスポットを当てていきたい。


 高卒ルーキーでは清水エスパルスのMF石毛秀樹、鹿島アントラーズのDF植田直通、セレッソ大阪のFW南野拓実に注目だ。3人とも2011年のメキシコU−17ワールドカップ(W杯)ベスト8メンバーで、世界が注目を集める若手でもある。


 石毛は168センチと小柄ながら、体幹がしっかりしており、ドリブルの切れ味も鋭い。強烈なミドルシュートを放てるパワーアタッカーでもあり、筆者はかつて“小さな重戦車”と呼んでいた。


 U−17W杯では質の高いポゼッションに加わりながらも、機を見て前線に飛び出してはチャンスに絡んだ。すばしっこく、かつ強靭(きょうじん)なボディーバランスは、並み居る強豪国のDFを苦しませ、4試合出場で3ゴールを挙げ、ベスト8進出に大きく貢献した。この活躍が認められ、2011年のアジア年間最優秀ユース選手賞を受賞し、大きな話題となった。


 さらに昨年も勢いは止まらず、2012年3月30日には早くもプロ契約。4月のヤマザキナビスコカップ第2節の新潟戦でクラブ史上最年少出場記録を塗り替えると、6月のコンサドーレ札幌戦では初ゴールを記録した。さらにリーグ戦にも12試合に出場し、ナビスコカップニューヒーロー賞を史上最年少の18歳1カ月で受賞。大ブレイクの昨季を終え、今季から背番号8を背負うなど、決してニューカマーではない、主軸の1人としての新シーズンを迎える。


 石毛のプレーで忘れられないシーンがある。それは11年5月22日の高円宮杯プレミアリーグ第2節の尚志高戦。1−0のリードで迎えた39分に、そのシーンが訪れた。右サイドタッチラインギリギリの位置でDFと激しい球際の攻防を展開すると、強い下半身と、ブレない体幹をフルに生かして、DFを背負った状態でボールをキープ。次の瞬間、体をねじ込むように強引に反転させ、前を向いてワンステップから豪快に右足を振り抜いた。ちょうどこの時、筆者はピッチサイドにいて、石毛のすぐ斜め後ろの位置にいた。彼の右足から放たれた強烈なシュートは、唸(うな)りを上げてゴール左上隅に一直線に突き刺さった。あまりにもきれいな弾道だったため、その光景は今でもはっきりと目に焼き付いている。


 Jの舞台でも再び目の前で度肝を抜いたプレーを見せてほしい。着実に成長を遂げている“小さな重戦車”。これから先、より馬力と性能は増し、破壊力が磨かれていくことを期待している。

まだ粗削りも身体能力と闘争心あふれるCB

圧倒的なフィジカルと空中戦の強さが魅力の植田(左)。若手育成に定評がある鹿島でどれだけ成長できるか
圧倒的なフィジカルと空中戦の強さが魅力の植田(左)。若手育成に定評がある鹿島でどれだけ成長できるか【写真は共同】

 植田に関しては、個人的に将来の日本代表のセンターバック(CB)を務めてもらいたいと思っている。それくらいのポテンシャルを秘めていることは間違いないからだ。彼の最大の魅力は186センチ、77キロという恵まれた体格を生かした圧倒的なフィジカルと空中戦の強さだが、それ以上に彼の“闘争本能”に期待をしてやまない。


 どちらかというと、スマートな選手が増えてきた中で、植田の存在は異色中の異色。屈強なフィジカルから醸し出される「相手をつぶす」という本能。かつてテコンドーで世界大会にも出場した彼は、「僕はそんなにうまくはないけど、誰にも負けたくない。とにかく負けるのが嫌なんです。CBの魅力は相手をつぶせること。攻撃してくる選手を止めたり、空中戦で競り勝った時の快感がやめられません」と、体にみなぎる闘争本能を包み隠さずに表現する。


 CBとしてはまだまだ粗削りだ。それもそのはずで、植田が本格的にサッカーを始めたのは中学で、CBは大津高に入ってから。これから学ぶべきものがたくさんあるが、彼には誰にも負けない身体能力と闘争心がある。それに荒削りと言うことは、逆に言えば伸びシロがたくさんあるということ。若手育成に定評のある鹿島において、植田がどこまで磨かれるか。岩政大樹というお手本がいる中で、着実な成長を遂げてほしい。当然、1年目から出場し、経験を積ませるということも育成手段としては十分にありだ。

安藤隆人
安藤隆人

大学卒業後、5年半勤めた銀行を退職して単身上京し、フリーサッカージャーナリストに転身した異色の経歴を持つ。ユース年代に情熱を注ぎ、日本全国、世界各国を旅し、ユース年代の発展に注力する。2012年1月にこれまでのサッカージャーナリスト人生の一つの集大成と言える、『走り続ける才能たち 彼らと僕のサッカー人生』(実業之日本社)を出版。筆者自身のサッカー人生からスタートし、銀行員時代に夢と現実のはざまに苦しみながらも、そこで出会った高校1年生の本田圭佑、岡崎慎司、香川真司ら才能たちの取材、会話を通じて夢を現実に変えていく過程を書き上げた。13年12月には実話を集めた『高校サッカー 心揺さぶる11の物語』(カンゼン)を発刊。ほかにも『高校サッカー聖地物語 僕らが熱くなれる場所』(講談社)、があり、雑誌では『Number』、サッカー専門誌などに寄稿。昨年まで1年間、週刊少年ジャンプで『蹴ジャン!SHOOT JUMP!』を連載した。

スポナビDo

イベント・大会一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント