今季のJリーグを彩るブレイク必至の若手=世界レベルの潜在能力を発揮できるか
鹿島の将来を担う次期DFリーダー候補
CBとして決して大柄ではない昌子(白)だが、空中戦の強さやキック力には大きな魅力がある 【Getty Images】
今でもはっきりと印象に残っているのが、彼が高校3年生の時の沖縄インターハイの米子北対流通経済大柏の一戦で見せた、弾丸FKだ。中央やや左寄りの約30メートルの距離から右足インステップで強打したボールは、ゴールに一直線。ピッチサイドのテントにいた筆者の目の前を超高速で駆け抜けていくと、ゴール手前で急激にホップして、ゴール左上隅に突き刺さった。彼のパワーとキックの質が凝縮されたシュートだった。今季はこのシュートをJの舞台でも見てみたい。鹿島の次期DFリーダーとしてのきっかけをつかむ1年としてほしい。
実は昌子も植田同様に、米子北高入学後にFWからCBにコンバートされた経緯を持つ。近い将来、昌子と植田のCBコンビが鹿島の不動の砦となり、そのまま日本代表の砦となる。そんな将来を思い描きながら、2人の1年目、3年目のシーズンを見ていきたい。
C大阪のクラブの“顔”の系譜候補
南野(白)は将来、C大阪の8番を背負う最有力候補。トータルバランスが非常に高いアタッカーだ 【Getty Images】
高いキープ力とパスセンスを併せ持つが、南野の持ち味は何と言ってもポジショニングの良さと、ボールを受ける前の動きの質の高さだ。常に味方の状況、相手の状況を見極め、スペースを巧みに作り出して、裏に行くのか、スペースに入るのか、けん制して入るのか、絶妙なタイミングで出し入れすることで、バイタルエリアで決定的なチャンスを作り出す。このスペースの有効活用できる駆け引き、戦術眼、そしてそれを実現できるスピードとボールコントロール。トータルバランスが非常に優れたアタッカーだ。
「遠慮しないでどんどん仕掛けて行きたいし、将来は世界で戦いたい」と高みを目指すハイセンスアタッカーは、1年目からエンジンフル回転で、自身の夢を一気に手繰り寄せて行くだろう。
王者広島が誇る期待の若手3人衆
今季ユースから昇格した野津田は、昨年すでにデビューを飾り、リーグ5試合に出場。1.5列目で力強いドリブルと、シュートセンスで今季はレギュラーポジション確保を目論(もくろ)む。
四日市中央工高から入団した浅野は、ボールを引き出す動き、裏への抜け出しのタイミングとスピード、シュートセンスのどれもがハイレベル。ポテンシャルは非常に高く、早いうちにプロのスピードに慣れることができれば、1年目からの出場も十分にありうる。
ここでは7選手しか挙げてはいないが、ほかにも飛躍が期待される若手はたくさんいる。もしかすると伏兵と目された選手が、一気に主役になるかもしれない。楽しみが尽きないJリーグ。それぞれのお気に入りの若手、期待の若手の存在に目を向けて見てみると、また違った楽しみが生まれるかもしれない。ぜひ、スタジアムに足を運んで将来の希望が詰まった若手の躍動を見てほしい。Jから世界へ。その息吹は確実にそこにある。
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