大敗から一夜…侍ジャパンに感じる物足りなさ=日本代表合宿リポート
野手陣は4時間練習後に1時間半の特打
観客が一番沸いたのが、笑いを誘っただけの村田(左)と長野の挟殺プレーの練習ということに物足りなさが残った 【写真は共同】
9時40分の練習開始から、全体練習は約4時間。その後の自主練習では野手陣のほとんどが約1時間半の居残り特打を行った。「バットを振り込める時期は今しかない」と語ったのは内川聖一(福岡ソフトバンク)。前日の零封負けが関係しているわけではないとのことだったが、サムライたちの眼は真剣そのものだった。
一流だからこそ求めたい「質」
「打線の方は厳しい展開になるという気がします。大量点は望めないような気がします」とは、前日の試合の山本浩二監督のコメントだ。山本ジャパンが目指すのは1点をやらない野球――その意図を明確にしたのがこのメニューである。
だが、その内容は、率直に言うと物足りなさ過ぎた。技術面ではない。声、いわゆる覇気がないのだ。ランダンプレー(走者の挟殺プレー)などは野手の連係プレーである。しかし、静かな空間をボールが行き来するだけ。山本監督が「ハッスルボーイ」と期待する三塁手の松田宣浩(ソフトバンク)は確かに威勢よく声を張り上げていたが、ホークスでの姿と比べればまだ物足りない。この日、観客席が一番沸いたのは、三塁手の村田修一(巨人)が走者の長野久義(巨人)をセンターまで追いかけてアウトにするという、ただ笑いを誘っただけのシーンだった。
明るい雰囲気づくりは確かに必要である。だが、その方法は違うと思う。お互いが声を出し合いながら、同じ目標に突き進む者同士が高め合う姿。日本プロ野球の最高峰が集う場所だからこそ、そのような姿に期待したいと思うのだ。
20日は代表生き残りを懸けた「紅白戦」
【紅組】澤村拓一(巨人、2回)→大隣憲司(ソフトバンク、2回)→浅尾拓也(中日、1回)→山口鉄也(巨人、1回)
【白組】攝津正(ソフトバンク、2回)→牧田和久(西武、2回)→森福允彦(ソフトバンク、1回)→涌井秀章(西武、1回)
試合後には代表選手28名が決まる予定だ。「それ(サバイバルマッチ)は選手たちが一番よく分かっているでしょう。こっちは悩むだけ」(山本監督)。内川は「昨日がああいう試合だったので、投手も野手もお互いに良い結果を残しながら、(壮行試合の行われる)大阪に向かいたい」とナイン全員の思いを代弁した。
代表合宿は残りわずか。無駄にできない大切な一瞬を積み重ね、世界一3連覇へ今一度気を引き締めたいところだ。
<了>
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