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新世代の台頭で新陳代謝が進むオランダ
イタリア戦は若返りの契機となったのか

ファン・ハール監督も称賛した試合内容

イタリア戦では中盤で活躍し存在感を放っていたマヘール
イタリア戦では中盤で活躍し存在感を放っていたマヘール【Photo:Getty Images】

 6日に行われたオランダ代表とイタリア代表の国際親善試合は1−1の引き分けに終わった。33分にレンス(PSV)のゴールで先制したオランダだったが、ロスタイムにベラッティ(パリサンジェルマン)の同点ゴールを浴びてしまった。


 つたない試合運びで勝ちきれなかったオランダ代表のルイ・ファン・ハール監督は「イタリアのチェーザレ・プランデッリ監督が残り20分のところで4−3−3から4−4−2にやり方を変えてきたが、われわれはそれにすぐ対応できなかった。うちはリードしてたのだから、終盤に慌ててスローインを投げる必要もなかった。ゆっくりボールを回せば良かった」と結果を悔やんだが、パフォーマンスには満足げだった。「高いレベルのとても良い試合だった。今日、出場した選手は主将のヴェスレイ・スナイデル(ガラタサライ)を除いて、出場しなかった選手に対して少しリードした」と語った。


 この日、先発したのはGKクルル(ニューカッスル)、DFヤンマート、デ・フライ、マルティンス・インディ(以上フェイエノールト)、ブリント(アヤックス)、MFクラーシー(フェイエノールト)、ストロートマン(PSV)、マヘール(AZ)、FWレンス、ファン・ペルシ(マンチェスター・ユナイテッド)、オラ・ジョン(ベンフィカ)の11人。その平均年齢はわずか22歳361日。これは1913年11月15日のイングランド戦で記録した、22歳350日のオランダ代表最年少記録に次ぐ記録だそうだ。


 そんな彼らが、試合内容でイタリアを圧倒したのだ。試合翌朝の全国紙『アルヘメーン・ダッハブラット』は『オランダのヤングたちに賞賛』という見出しでチームをたたえた。とりわけクラーシー、ストロートマン、マヘールの中盤は、イタリアのピルロ(ユベントス)、デ・ロッシ(ローマ)、モントリーボ(ミラン)を上回るゲームメークをみせた。

 

 デビューを果たしたのはブリント、オラ・ジョン、後半から出場したデ・グズマン(スウォンジー)の3人だった。ファン・ハール監督は「オラ・ジョンだけが今ひとつ。ほかの選手は合格点を与えられる」と評した。オランダのチャンスの多くに絡み続けたマヘールは今回が3度目の代表戦。彼についてファン・ハール監督は「良いプレーをした。間違ったプレーの選択もあったが、ボールを持った時も持たなかった時も良かった」褒めた。 

 

 若手ばかりでなく、29歳のベテラン、ファン・ペルシがセンターFWで機能したことも忘れてはならない。アーセナルやマンチェスター・ユナイテッドでは鮮やかなプレーを見せるファン・ペルシだが、オランダ代表では物足りない試合が続いていた。しかし、45分間限定で出場したイタリア戦では、楔に入り巧みなプレーを見せ、若い選手の持ち味を引き出した。とりわけトップ下のマヘールはファン・ペルシとの連携が冴(さ)えていた。

中心選手が調子を落とすも、若手が台頭

 昨年9月から始まったワールドカップの欧州予選でも多くの若い選手を抜擢しているファン・ハール監督だが、今回さらなる若返りを図ったのは、これまでの中心選手が調子を落としていたり、出場機会に恵まれていないからだ。「スナイデルは4カ月、ファン・デル・ファールト(ハンブルガーSV)は2カ月、あまり試合に出ていなかった」(ファン・ハール監督)。ハイティンハは最近、「エバートンに入団以来、最悪の出来だった」と自己批判したほどの低パフォーマンスだった。

 

 3日に放映された『ストゥディオ・フットボール』というサッカートーク番組では、今回招集されなかったメンバーでオランダ代表を組んでいた。

GKステケレンブルフ(ローマ)、DFファン・デル・ウィール(パリ・サンジェルマン)、ハイティンハ、ダグラス(トゥエンテ)、ウィーレムス(PSV) MFナイジェル・デ・ヨング(ACミラン)、フェル(トゥエンテ)、スナイデル、FWアフェライ(シャルケ)、ファン・デル・ファールト、ロッベン(バイエルン)、控え ナルシング、ピータース(ともにPSV)


 結局、フンテラール(シャルケ)が左目の不調によって合宿から去り、ロッベンが緊急招集されたが、そこにナルシングを入ればもうひとつチームが完成する。アルヘメーン・ダッハブラット紙は、「原則として、ファン・ハール監督はファン・ペルシ、ロッベン、スナイデルのトリオを代表チームの“キープレイヤー”として今も見ている。しかし、その下のカテゴリーにいるファン・デル・ファールト、ハイティンハ、マタイセン、ステケレンブルフといった選手たちは、今回チャンスを与えられたニュージェネレーションの選手たちに完全に抜かれてしまうかもしれない」と報じている。


 今回、ベンチ入りしたものの、出場機会のなかったマタイセンに関しては、イタリア戦の前からちょっとした議論があった。フェイエノールトの4バックは基本的に右からヤンマート、デ・フライ、マタイセン、マルティンス・インディと並んでいる。しかし、ファン・ハール監督はデ・フライとマルティンス・インディのコンビでセンターバック(CB)を組むことに決めた。彼らの所属先で指揮を執るロナルド・クーマン監督は、事前にその説明をファン・ハール監督から受けていたが、かなり困惑したという。イタリア戦でデ・フライとマルティンス・インディが好パフォーマンスを見せた場合、ベテランCBのマタイセンが、チーム内で非常に微妙な立場になるからだ。だが、今のオランダ代表では、若返りの勢いは増すばかり。今回、デ・フライとマルティンス・インディがCBに起用されたのも、自然な流れだったのかもしれない。


 オランダは6月にインドネシアと中国に遠征するが、もしかするとこのアジア遠征の方がイタリア戦のメンバーより豪華になるかもしれない。この時期、ヨーロッパではU21欧州選手権がイスラエルで開かれる。A代表にも名を連ねたストロートマン、マルティンス・インディ、クラーシー、フェル、ナルシング、ファン・ライン(アヤックス)、ワイナルドゥム(PSV)といった多くの若手選手たちは、グループリーグでドイツ、スペイン、ロシアと戦うこちらの舞台を優先するだろう。彼らはスポンサー絡みの遠征試合より、タイトルを賭けた真剣勝負の方が自らの成長につながると考えているのだ。


 6月、アジアとイスラエルに分かれる2つのオランダ代表。とりわけ後者はまだフル代表に届かない原石がたくさんおり、しびれるような勝負の中からニューヒーローの誕生も期待される。2014年のブラジルW杯に向けてオランダ代表は、良い意味でまだ完成型が見えない状況だ。

 

<了>

中田徹
中田徹

1966年生まれ。転勤族だったため、住む先々の土地でサッカーを楽しむことが基本姿勢。86年ワールドカップ(W杯)メキシコ大会を23試合観戦したことでサッカー観を養い、市井(しせい)の立場から“日常の中のサッカー”を語り続けている。W杯やユーロ(欧州選手権)をはじめオランダリーグ、ベルギーリーグ、ドイツ・ブンデスリーガなどを現地取材、リポートしている

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