新鋭校の台頭や人材の拡散が進む高校サッカー=“戦国時代”を迎えた選手権の新たな楽しみ方
伝統校も容易に勝ち進めない時代
抜きん出た選手がいなくなったという話もあるが、大津の植田をはじめ、J内定の注目選手も数多い 【安藤隆人】
サッカーがメジャースポーツとしての地位を確立し、裾野が拡大していることに加えて、全国的な共学化の流れもあって、大会の参加校は少子化にもかかわらず増加傾向にある。私立新鋭校の台頭は全国各地で目覚ましく、これまでほかのスポーツに傾注していた高校がサッカーにも投資を始めたり、あるいは女子校から共学化したチームが男子生徒へのアピールの目玉としてサッカー部に注力するといった事例は珍しいものではなくなった。Jリーグ下部組織の拡大に伴う人材の流出は指摘されて久しいが、私立新鋭校の台頭に伴う人材の拡散も進んでいると言える。結果、伝統校の昔ながらのアプローチが通用しない時代になっているのは間違いない。
J内定選手は10名近くで人材は豊富
選手権が「日本の育成年代の有力選手を総覧できる大会」でなくなっているのは確かだろう。拡散の結果として、予選でいなくなる有力選手、有力校が多くなりすぎたし、何よりJリーグの下部組織にその年代のトップ選手の過半が在籍していることは紛れもない事実である。この大会を見て日本の育成年代全体について語るのは無意味だとさえ言えるかもしれない。だがそれは、この大会から有望な選手がいなくなったということではない。そして、外野の人間が選手権を楽しむ動機付けが消えたということでもないだろう。