チッチ監督「このトロフィーを手にできて幸せ」=クラブW杯・チェルシー戦後、監督会見

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優勝できるチームは徐々に作るもの

――今日の決勝は本当にコリンチャンスらしい試合だった
 
 相手をリスペクトしながらプレーしないとけないが、タイトルを狙うというのは当然のことだと思う。リベルタドーレスカップを含めて、ウチは16試合で4失点だけ。得点数も今大会を含めて良かったし、チャンスもたくさん作って内容的にも良かったと思う。もっと早く得点することもできたと思う。試合の運び方は良かった。
 
――この試合はどの局面で勝てたと思うか。それからサポーターの役割についてどう考えるか?
 
 優勝できるチームというものは、徐々に作るものだと思っている。長い間、同じチームを率いていると、チームの考えがまとまっていく。例えばファビオ・サントスがボールを持つと、ダニーロが外側を走っているというのは分かっている。ボールを持ったときに、選手はどこにボールを出すべきか、どこにスピードのある選手がいるかを分かってくる。そうなるために、時間をかけてそこまで仕上げる。練習の負荷であったり、どれだけ練習させるかということだ。わたしが驚いたのは、ベニテスは思ったよりもライトなチームで(今日の試合に)入ってきた。前の試合は、もっとフィジカルが強いチームだった。ランパードがボールを出して、前線の2人が開いていた。ウチはロングボールも使いながら、ダニーロが中で動くことが一番いいオプションかどうか、外側で走った方がいいのではないかと悩んだが、相手の情報もあったので、ダニーロをファビオ・サントスの側で動いてもらって、エメルソンを中の方に入れて、ボランチは少し外の方にいてもらって、エメルソンがあまり戻らないようにしようと思った。彼があまりにも引いてしまうと、そこのボールのつなぎが悪くなるからだ。
 
 サポーターについてだが、彼らはチームとともにプレーしている。サポーターのエネルギーがどのように流れていくのかは分からないが、たまにチームに元気がないときに、サポーターが励まして元気を与えてくれる。コリンチャンスにとって、激しいゲームが当たり前のように求められる。だからこそサポーターは、少し情熱的すぎるのかもしれない。

ずっとサポーターの声援が耳に入ってきた

――あなたがいずれこのチームを出るときに何が起こるのか?

 わたしはこれまで、セミプロや2部や強豪チームなど、いろんなレベルで監督をやってきたが、いつも自分が仕事したチームに対して、リスペクトしながら仕事をしている。インテルナシオナル、グレミオ、最初にコリンチャンスの監督をやったときもそうだった。10年のチャンピオンシップが始まったとき、W杯のトロフィーの近くで写真を撮らせてもらった。当時は優勝できるか分からなかったが、今はこのトロフィーを手にできて幸せだ。

――南米のクラブがトロフィーを獲ったことの意味は?(日本人記者)

 コリンチャンスが勝つことには、大事な教訓がある。どんなに個人技が素晴らしくても、それよりもチームワークの方が上回る。仲間のためにもう少し走ろうとか、またボールを奪い返そうとか、選手が協力し合うことが大事。それが今日のコリンチャンスが実践したことだ。06年のクラブW杯で優勝したアベウ(・ブラガ=当時のインテルナシオナル監督)とも話したが、ブラジルの監督が優勝するとその人の株が上がる。

――この2年で、ブラジル選手権、リベルタドーレスカップ、そしてクラブW杯とすべてのタイトルを獲得した。今後またサポーターにタイトルをもたらすことはできるか?

 どう答えていいか分からないが、今大会のためにブラジルを出てからスタジアムに入るまでの間、ずっとサポーターの声援が耳に入ってきた。(相手のシュートを)ブロックしたり、ボールを奪ったりするたびに大歓声が起こった。そらくらい声援をもらえると、どれだけモチベーションになるか。その効果というものを、今日は見せることができたと思う。

――去年、サントスがあのような負け方をして、ブラジル代表も低迷が続いている中、コリンチャンスの優勝はブラジルを元気づけることができると思うか?

 チームのパターン、サッカーへのアイデアやビジョン、フロントの能力、サポーターの理解、質のいいアスリート、賢いプレーヤーがいないと勝てない。ミスがあっても、それを指摘して、どう防ぐことができるかを指摘することで、もっと結果を求めることができると思う。

<了>

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