コリンチャンスのチッチ監督「プレッシャーが影響した」=クラブW杯・アルアハリ戦後 監督会見

スポーツナビ

コリンチャンスのチチ監督は、後半の苦戦は認めたものの、前半のプレーには満足している様子だった(写真は11日の会見のもの) 【写真は共同】

 サッカーのクラブ世界一を決めるFIFA(国際サッカー連盟)クラブワールドカップの準決勝が12日に行われ、南米王者のコリンチャンスがアフリカ王者のアルアハリを1−0で下した。勝ったコリンチャンスは16日の決勝で、北中米カリブ海王者・モンテレイと欧州王者・チェルシーの勝者と対決し、敗れたアルアハリは同日の3位決定戦に回った。

 試合後の会見に臨んだコリンチャンスのチッチ監督は、勝利したものの後半は防戦一方だったことに「精神的なプレッシャーが大きく影響したと思う」と語り、苦戦したことを認めた。しかし、「前半は最高の出来だった。チャンスの数を見れば、なぜコリンチャンスが勝てたかが分かるはずだ」と胸を張った。

「精神的な面での影響があった」

――決勝に進出したが後半かなり攻め込まれた。1点を死守することが目的だったのか?

 こういう大きな試合は、コリンチャンスに課せられる責任が大きいことは分かっていた。後半にもう1点決めてゲームを終わらせようとしたし、アルアハリに攻められることのないゲーム展開にしたかった。だが精神的な面での影響もあった。(後半、守備的になったのは)監督が指示したからでなく、この試合でのプレッシャーがあったからだ。大会の歴史やほかのチームのパフォーマンスを見ると、精神的な面の影響は大きい。自分としては、もっとアグレッシブに攻めて勝負を決めたかったのだが、精神的なプレッシャーが大きく影響したと思う。

――前半はよかったと思うが、後半は引いてしまった。相手も前線からプレッシャーをかけてきたが、それを突破できなかった原因は何か?

 前の質問と同じだが、(相手は)モハメド・アブトレイカが入ってパスワークが良くなり、彼らはゲームメークが積極的になってボールキープできるようになった。コリンチャンスとしては、時計を見ながらの、時間との戦いになった。それはこういう大会ではよくあることだ。結果を求めないといけないが、時間の経過とともにいつものプレーができなくなるくらいプレッシャーがあった。

――チーム戦術とサポーターが3万人近く集まったことについて

 システムは2年間変わっていない。最初はいろんな可能性を考えて変化もあった。前で張ってくれる選手が欲しかった。そうでなければ運動量のある選手に代えたりもしたが、チームのデザインは変わっていないし、フォーメーション的な変化もない。もちろんスピードのある選手のオプションもある。

 サポーターについてだが、前半は彼らのおかげでコリンチャンスが支配できた。サポーターがこれだけ来てくれたので、そのお返しをしないといけないというプレッシャーもあった。サポーターの励ましもあり、前半はコリンチャンスらしいプレーができた。

――アルアハリの印象は?(エジプト人記者)

 アルアハリは前から見ていたので、技術面でのクオリティーをよく知っている。2006年大会から、4人の選手が継続してプレーしており、このチームのベースとなっていて、経験もある。エスペランスとの試合(アフリカチャンピオンズリーグ決勝)では、アルアハリはホームでもアウエーでも質の高い試合ができていたので勝利できたのだと思う。

 選手個々に目を向けてもクオリティーも高く、前半はFWが突破してくるシーンもあった。その後、アブトレイカが出てきて突破力はなくなったが、ボールキープはできるようになった。そのことでコリンチャンスは苦しんだ。こちらもボールキープしたかったのだが、うまくできず焦ってしまった。

「前半はすべてコリンチャンスが支配した」

――決勝に向けてどういう準備をするか?

 タイトル獲得の可能性がリアルになった。それだけだ。決勝に行ける切符を手にした責任は非常に大きいと思う。

――パオロ・ゲレーロをずっと起用し続けていたが、今回スタメンで決勝点を挙げたことに満足しているか?

 正直、最初はゲレーロのゴールだとは分からなかった。入ってからゲレーロだと分かった。監督というものは、選手個人のことではなくチームのことを考えている。アンフェアな判断はしたくない。ただ、チームのフォーメーションは決まっているので、それにふさわしいかどうか、そこできちんと仕事ができるかどうかが重要だ。エメルソンでもロマリーニョもそうだ。

――後半、守備的にプレーしたのは、アルアハリのプレッシャーがきつかったからか?(エジプト人記者)

 考えないといけないのは2つのチームがプレーしていたということだ。だから両方の見方をしなければならない。アルアハリはアブトレイカがゲームメーカーに入って、ボールキープができるようになった。彼はこのチームの頭脳であり、よく仕事ができたので、アルアハリのゲーム内容も改善された。ただ、エリアの外からのフィニッシュもあったが、突破はなかった。クロスもあったが、すべてブロックされた。ボールキープはできたが、突破してエリアに入ってくる選手がいなくなってしまった。それはアルアハリが、そういう選択をしたからだ。逆にコリンチャンスは、勝たないといけないというプレッシャーの中でミスが出てしまった。そういう後半の30分間だったので、アルアハリが支配する印象だったと思う。

――今日のコリンチャンスは何が良かったのか?

 前半の出来は最高だった。相手にチャンスをまったく与えなかった。サッカーというのは、前半と後半はまったく別の試合と考えてよいと思う。アルアハリとコリンチャンス、それぞれのチャンスが何回あったのか天秤(てんびん)にかけたら、なぜコリンチャンスが勝てたかが分かると思う。

――この前の国内リーグのサンパウロ戦では、コリンチャンスはもっといい試合をしていたが、なぜ今日は引いていたのか?(エジプト人記者)

 自分がアルアハリの質の話をしたのは、このチームを見てきたからだ。もちろんアルアハリも、コリンチャンスを見ていたと思う。サンパウロ戦は敗れたが、われわれはかなり攻めていた。アルアハリは、コリンチャンスがなかなか2点目を決められなかったことで、リズムをつかんだのだと思う。しかし前半は、コリンチャンスが支配していた。突破力でも、ボールキープやチャンスの数など、すべてにおいてだ。前半、アルアハリのフィニッシュは1回あっただけだ。それが逆だと考えよう。前半が後半で、後半が前半だったら、もしかしたら皆さんの質問も変わっていただろう。それでもコリンチャンスは、プレッシャーと責任の中で戦っていた。この大会の歴史を見ると、名門クラブはパフォーマンス的に期待にそえないことがある。なぜなら重圧があったからだ。この試合は決勝戦のように重要な試合だった。こちらがパスミスを連発すれば、相手が調子に乗ってくるのは当然のことだ。

<了>

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