思いもよらなかった、日本馬による香港スプリント制覇=香港国際競走回顧

JRA-VAN

香港スプリント:ロードカナロアが示した日本産馬の高い能力

香港スプリントを抜けた強さで制覇したロードカナロア 【写真:アフロ】

 前年のこのレースの勝ち馬で、前哨戦のG2ジョッキークラブスプリント(芝1200メートル)を制したラッキーナイン(セン5)が、大外枠を引いたため多少評価を落としたものの、オッズ3.55倍の1番人気。ジョッキークラブスプリントでラッキーナインの2着に健闘したタイムアフタータイム(セン5)が3.85倍の2番人気。G1スプリンターズS(芝1200メートル)を勝って参戦のロードカナロア(牡4)が4.05倍の3番人気に推された。

 前走ジョッキークラブスプリント4着のセリースチェリー(セン7)が逃げ、ロードカナロアが積極的な競馬で3番手を追走。タイムアフタータイムは中団から、ラッキーナインは後方からの競馬となった。

 直線残り150メートル付近で粘るセリースチェリーを捕らえたのがロードカナロアで、そのまま突き抜けて2着セリースチェリーに2馬身1/2差をつける快勝。1番人気のラッキーナインは追い込んだものの5着。タイムアフタータイムは最下位の12着に敗れた。

 また、日本から参戦したもう1頭のカレンチャン(牝5)は、発馬直後に隣のアドミレーション(牡5)に体当たりされて最後方に下がる不利があり、力を出せないまま7着に終わっている。

 ロードカナロア1頭が抜けた強さを発揮したこのレースだが、過去13回の記録をひも解くと、実に地元香港勢が10勝。香港馬が優勝を逃した3回も、豪州調教馬2勝、南アフリカ調教馬1勝で、すなわち、欧州、北米、そして日本の馬には出番がなかった競走だった。

 しかも、北米調教馬は2着が2度で3着が1度、欧州調教馬も3着が1度あるのに対し、日本調教馬はこれまで計14回挑み、昨年カレンチャンが記録した5着が最高着順と、まさに難攻不落の砦(とりで)であっただけに、日本馬による香港スプリント制覇がこれほど早い時期に見られようとは思っていなかったというのが、正直なところだ。

 日本産馬の能力と日本人ホースマンの技術が、いずれも極めて高い水準に到達していることを示す結果と言えそうだ。

香港マイル:アンビシャスドラゴン、「取り消し騒動」が嘘のような快勝劇

 過去2シーズン続けて香港年度代表馬に選出され、レーティング最上位のアンビシャスドラゴン(セン6)が、圧倒的な1番人気になることが予想されていたのだが、レース前日に右後肢にハ行が見られ、この段階で出走が微妙に。レース当日の獣医検査でゴーサインが出たものの、アンビシャスドラゴンはオッズ4.15倍の2番人気に甘んじ、代わって、前走G2ジョッキークラブマイル(芝1600メートル)でアンビシャスドラゴンを破って重賞初制覇を飾ったグロリアスデイズ(セン5)が、オッズ2.45倍の1番人気に推されることになった。

 レースは、フランスから遠征したドンボスコ(牡5)がハナを切り、グロリアスデイズは5番手。アンビシャスドラゴンは後ろから3頭目を追走する形となった。

 直線残り200メートル付近でグロリアスデイズが先頭に立ったが、そこに襲い掛かったのが、直線入り口ではまだ10番手にいたアンビシャスドラゴンで、強烈な末脚を繰り出してグロリアスデイズを捕らえ、3/4馬身差の優勝を飾った。3着に道中2番手追走のパッキングオーケー(セン6)が入り、上位を地元香港勢が占めることになった。

 日本からは、G1マイルCS(芝1600メートル)1、2着のサダムパテック(牡4)とグランプリボス(牡4)の2頭が参戦したが、中団内ラチ沿いを追走したサダムパテック(23.45倍の7番人気)は直線で伸びを欠き6着に敗退。グランプリボス(11.95倍の6番人気)は前半3番手という積極的な競馬をしたものの、直線で失速して最下位の12着に敗れた。

 それにしても、前日の「取り消し騒動」がうそのような快勝劇を演じたアンビシャスドラゴン。厩舎スタッフは前夜11時まで引き運動を行い、症状の改善に努めたという。アンビシャスドラゴンにとって重賞制覇はこれが8度目、国際G1制覇は2シーズン前のG1クイーンエリザベス2世C(芝2000メートル)に続く2度目のこととなった。

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