カレンチャン、武豊パテックら日本馬に勝機=合田直弘の香港国際競走展望
香港スプリント:カレンチャン、カナロアともにVの目あり!
カレンチャン(左・橙帽子)、ロードカナロア(右・桃帽子)ともにチャンス十分 【写真:中原義史】
このレースでは過去良績を残せていない日本馬だが、その一方で、1年前のことを考えるとチャンスがありそうなのがカレンチャンだ。昨年の同馬は、使用機材に不具合が見つかり狭いストールに18時間も留め置かれるという輸送トラブルに見舞われ、大幅に体が減ったためにレース直前の木曜日と金曜日は馬場入りができず、なおかつ、レース中にも進路が狭くなる不利がありながら、勝ち馬から2馬身しか負けていない5着に頑張ったのだ。相手はそろったが、この馬が持てる能力を100パーセント出し切る競馬ができれば、センターポールに日の丸を揚げる可能性もあると見る。
カレンチャンにチャンスがあるなら、前走で実際にこの馬を破っているロードカナロアにも優勝の目があるはずである。
昨年のこのレースの勝ち馬で、前哨戦のG2ジョッキークラブスプリント(芝1200m)もきっちりと勝利したラッキーナイン(セン5)が、最大の敵になろうか。
重賞初挑戦だったジョッキークラブスプリントで2着となった、地元香港におけるこの路線の上がり馬タイムアフタータイム(セン5)、この路線の水準の高い豪州でG1・3勝の実績を誇るシーサイレン(牝4)らが、2頭の日本馬が倒すべき相手となりそうである。
香港マイル:日本馬2騎に好機! 武豊の手綱さばきも注目
素質開花したサダムパテック、もちろん武豊の手綱にも注目 【スポーツナビ】
3歳の春浅い頃までは、同じ牧場で同じ年に産まれたオルフェーヴルより評価が高かったのがサダムパテックだ。歯車が狂って出世が遅れていたが、ようやく生来の高い素養が開花した今、この馬の香港における競馬振りは、鞍上の武豊騎手の手綱さばきともども、大きな注目を集めるものとなっている。
1番人気には応えられなかったものの、道中の不利を克服して僅差の2着まで追い上げたマイルCSにおけるレース振りは、勝ちに等しい内容だったのがグランプリボスだ。この路線のG1を既に2勝している実績に加え、昨年夏に英国遠征を経験しているのも大きな強みで、05年のハットトリック以来となる日本馬によるこのレース制覇の、好機到来と見ている。
最大の敵は、9月にニューマーケットで行われたG1サンチャリオットS(芝8ハロン)、10月にウッドバインで行われたG1E.PテイラーS(芝10ハロン)を連勝してここへ臨む、仏国調教馬のシユーマ(牝4)か。実績上位に加え、今年の香港国際競走は仏国からの遠征馬が多く、6頭の仲間たちと同じ飛行機に乗って現地入りしているという、調整面でのアドバンテージもある馬だ。
2年連続で年度代表馬のタイトルを獲得している実力馬で、前哨戦のG2ジョッキークラブマイル(芝1600m)でも勝ち馬より5ポンド重い斤量を背負いながら2着に健闘したアンビシャスドラゴン(セン5)、そのジョッキークラブマイルで重賞初制覇を果たしたグロリアスデイズ(セン5)、この路線の春における総決算G1チャンピオンズマイル(芝1600m)を2年連続で制しているエクステンション(牡5)など、地元香港勢にも強敵がそろっている。