4番は阿部!? 抑えは浅尾!?=前回WBCコーチ・篠塚和典が解説

構成:スポーツナビ

主将として、そして攻守の要としてチームの大黒柱の役割が期待される阿部慎之助 【写真は共同】

 来年3月に開催されるワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で3連覇を目指す野球日本代表「侍ジャパン」の代表候補34名が4日、発表された。イチローやダルビッシュ有らメジャーリーガーが辞退し、国内球団所属選手のみで構成され、投手には田中将大(東北楽天)、前田健太(広島)ら16名、野手には今季MVPの阿部慎之助(巨人)や中田翔(北海道日本ハム)ら18名が選出された。今回は第2回WBCで打撃コーチを務め、世界一に貢献した篠塚和典氏に話を聞いた。

ムネリンのような役割を誰が担うか

――メンバー34名を見た率直な印象はどうですか?

 前回のWBC経験者が9人だけで、本当に新たなメンバーで戦いに行くんだなという感じを受けました。守備中心のメンバーに見えますが、打撃陣も各球団の主力のメンバーが選ばれていますし、攻守にバランスの整ったメンバーだと思います。

――攻撃では足を使える選手がそろっている印象を受けますが?

 どういうオーダーを組むのかというのはありますが、前回自分がコーチを務めた時もそうでしたけど、国際試合で大きいの(ホームラン)は期待していないですし、なかなか一発というのも出ないので、コツコツと点を取っていく打線にはなるとは思います。その中で、2死走者なしからでもヒットはもちろん、四球で出塁して、盗塁でスコアリングポジションに進めることができるかどうか。そして、どんな形でもいいから1点を取りにいくことが大事になります。1番から9番まで1人で出塁して得点圏に進めることができるようなオーダーが理想ですね。

 このメンバーを見ると、3番や5番タイプは多くいますけど、4番に関しては実績や今年の働きを見ていると、慎之助(阿部)がいいでしょうね。シーズンでは中田(翔)が北海道日本ハムで4番を座っていましたけど、まだまだ穴もあるし、4番でどれだけ力を出せるか分からないです。短期決戦なので、起用するほうもなかなか冒険できないんですし、下位でのびのび打たせたほうが良い気がします。

――主将、4番、捕手と阿部選手にかかる期待が大きいですが?

 それはある程度本人は覚悟して選ばれていると思います。ただ稲葉(篤紀)や松井(稼頭央)、井端(弘和)らベテラン勢もいますし、阿部はグラウンドでチームを引っ張って、前回のWBCを経験している稲葉はベンチでムードづくりをする、という役割分担がしっかりとできるのではないでしょうか。

 あとは前回のムネリン(川崎宗則)のように試合展開でちょっとギクシャクしても声でチームの雰囲気を明るくさせる人間が短期決戦では絶対に必要ですので、その役割を誰が担うかですね。本多(雄一)とか松田(宣浩)とかに期待したいですね。

杉内の使い方に注目

――投手陣の顔触れはどうですか?

 中心は田中(将大)になりそうな気がします。前回は中継ぎで結果を残して、WBCというものに自信のある杉内(俊哉)を先発させるか、中継ぎにさせるかに注目したいです。

 前回までの2大会では、藤川球児が選ばれていた抑え投手が誰になるかもいろいろ言われていますが、国際大会ではスピードのある変化球を持っている選手が有利になります。その点を考えると、浅尾(拓也)はスピードのあるストレートもありますし、シュートもフォークもあるので、今季はケガであまり投げられなかったことは心配ですが、浅尾が適任だと思います。

――このメンバー、このチームに期待することは?

 野球自体は派手じゃないと思います。送るときは送るし、つなぐときはしっかりとつなぐというスモールベースボールと言われている日本の野球を見せてくれるはずですし、それをしっかり対応できるメンバーがそろっています。

 2連覇をしている日本に対して、ほかの国も今まで以上に力を入れてくるはずですが、そういう中で山本浩二監督は大変ですが、3連覇を成し遂げて日本野球の本当の強さを証明してほしいと思います。

<了>
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