フジテレビ・川口哲生氏が語る「バレーボールのメディア戦略」

スポーツナビ
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提供:(公財)日本ラグビーフットボール協会

ラグビー協会会長に直談判をする

「スター選手は生まれるべくして生まれてくる」と述べた川口氏 【スポーツナビ】

 以下は質疑応答の一部。

――芸能人とのコラボレーションを考えた際、競技の持つイメージやターゲットとする顧客層との相性についてはどのように考えていましたか?

 この取り組みを行えたことの要因は、バレーボール協会の理解に尽きます。松平会長が「これなんだよ、これ」と言ってくれました。(72年の)ミュンヘン五輪の際、松平会長自身が男子バレーボールが世の中に受け入れられるにはどうすべきかを考えたときに、子どもたちにアピールしたいと考えたそうです。そして、たどりついたのが若者向けの雑誌(少年マガジンなど)に選手たちを露出させるという戦略でした。

(95年W杯)当時、若い子たちがバレーボールを(試合会場に)見に来なくなっているという状況でした。その若い子たちを会場に引っ張り込むにはどうしたらいいのか。長くバレーボールに親しんできた方々は眉をひそめるかもしれませんが、スポーツをしたことのない人たちにはこういった戦略が必要だ、とおっしゃったのは協会のトップであった松平さんです。提案したわれわれはおっかなびっくりで、断られると思っていたら、「よくこの企画書を出してくれた」と言われました。バレーボール協会の決断が大きかったのだと思います。

――スター選手の存在は大きいでしょうか? スターを作り上げる上でメディアの役割は? またスター選手不在のメディアの役割について教えてください

 スター選手に関してはメディアと(協会の)強化の思惑が一致する必要があります。たとえばゴルフ界がそれに近い取り組みをしましたが、視聴率が低迷していた男子ゴルフは石川遼という素晴らしい選手の成長によって、劇的に状況が変わりました。

 バレーボールとラグビーも戦略性を持ってスター選手を育てることを考えていく必要があると思います。ただし、勝負事は何が起きるかわかりません。スター選手一人におんぶにだっこだと、けがで大会に出られなくなったらどうするのかという問題が浮上します。もし大会期間中にAという第一候補がこけてしまったら、第ニ、第三の手を打つという戦略をきめ細かく打つことが大事だと思います。

 協会とメディアが十分に議論を重ねて、プロモーションの対象となる有力選手を見極め、どのような戦略で露出を図るのかをじっくりと考えていく必要があると思います。(スター選手がいない場合は)作っていく努力をしないといけません。ただ、スター選手は無理矢理作り上げるものではなく、生まれるべくして生まれてくるんだということだけは信じていかないといけないと思います。

――川口氏がもしラグビー協会のイメージ戦略の担当になったとしたら、何から始めますか?

 バレーボールにおいては、亡くなった松平会長の存在が非常に大きかったと話しました。ラグビーがメディアと一緒になって革新的なことをしようとした場合、メディア側だけでは力不足です。協会側の強烈なリーダーシップとトップに立つ方の存在感が重要になってくると思います。フジテレビの人間としてはバレーボールを捨ててラグビーになびくわけにはいきませんが、もし、わたしがどこか他の局で番組プロデューサーになったと仮定したら、そのときはラグビー協会会長に「もっとメディアを愛してくれ」と直談判をすると思います。

川口哲生氏に聞く「あなたにとってラグビーとは」

「たとえ話になります。ラグビーという名前の男の子がいたとして、隣のクラスで体が大きく、勉強ができてスポーツも万能。気になる存在ではあるけれども、一度も話したことはない。ただ、その存在感には一目置いているというイメージですね。隣のクラスというイメージには自分がプレーしたことがないという距離感から来ています。それでも気になるのは、ラグビーが持っているオーラを感じる機会が多いからではないかと思います。実は業界内でのラグビー経験者はすごく多いので(笑)
 おそらく、ラグビー側もテレビの人間であるわたしを気にしているのではないでしょうか。あいつ気になるよなとお互いを気にしている。わたしとラグビー界は微妙な距離感、関係なのかと思います」

<了>

協力:(公財)日本ラグビーフットボール協会

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