ミミ萩原と『ロッキー』のあの人も登場する伝説の女子プロ映画

しべ超二

女子プロレスと(刑事)コロンボとロードムービーが一つになった奇跡の映画、『カリフォルニア・ドールズ』を紹介 【…All the Marbles (c) 1981 Warner Bros. Pictures International. All Rights Reserved】

 女子プロレスと(刑事)コロンボとロードムービーが一つになった奇跡の映画、『カリフォルニア・ドールズ』が日本初公開から30年を経て、現在ふたたび劇場公開中。音楽著作権上の理由で日本ではDVD発売されてない本作を、会場観戦ばりに劇場で体感せよ!

 物語の主人公はピーター・フォーク(「刑事コロンボ」)演じるマネージャーと、彼とともに全米をツアーして回る女子プロレスのタッグチーム「カリフォルニア・ドールズ」。
“ツアー”といえば聞こえはいいが、実際はおんぼろキャデラックに便乗し、安モーテルに寝泊まりしてのドサ回り。映画はショウビジネスの華やかさ、厳しさとを同時に見せながら進む。
 物語序盤には、ミミ萩原とジャンボ堀扮する日本人レスラーとドールズが対戦する場面も登場。ここで日本勢はドールズを苦しめ、後にドールズが決め技とするローリング・クラッチ・ホールドのインスピレーションを与える重要な役割を演じている。ジャッキー・チェンの「拳シリーズ」しかり、主人公の成長に強者との対戦は欠かせない。

『ロッキー』のように、自らの存在証明の戦いへ挑んでいく

『ロッキー』シリーズのポーリーでおなじみ、バート・ヤング(左)も好演 【…All the Marbles (c) 1981 Warner Bros. Pictures International. All Rights Reserved】

 そして日本人2人だけでなく、本作に嬉しい出演を果たしているのが『ロッキー』シリーズのポーリーでおなじみ、バート・ヤングだ。本作でヤングはプロモーターのエディ・シスコを演じているが、これがまたガメついイヤな男。だが、ポーリーも映画史に残るダメ男でありながら、どこか憎めない味があったのはバート・ヤングによるところが大きいが、本作でもヤングはシスコを単にイヤな奴にしてしまわず、人間臭い、憎み切れないユーモアのある人物に仕立てている。“バート・ヤング節”とでもいうべきものが堪能できるのだ。
 そんな本家ポーリーを前に、P・フォークはハッタリ&デタラメたっぷりな“ポーリー的人物”というべき、マネージャーのハリーを演じている。ハリーは時に壊れた車をドールズに押させ、泥レスマッチを勝手にブッキングしたりと、3人の旅は珍道中。喧嘩が絶えない。

時に壊れた車をドールズに押させたりと、3人の旅は珍道中 【…All the Marbles (c) 1981 Warner Bros. Pictures International. All Rights Reserved】

 常に不安と不満にさいなまれるドールズだが、それでも前進。物語が進むにつれ、彼女たちの生き方そのものが困難と戦う“プロレス”であることが明らかになってくる。酸いも甘いも噛み分け、全てをさらしてこそプロレス。
 だが、そんな彼女たちの旅は、やがてネバダ州リノでのビッグマッチ=タッグ選手権へと辿り着く。人生を懸けた大勝負。ここでドールズはベルトを獲ること以上に、チャンピオンと最後まで戦い抜くことで自分がただのチンピラではないことを証明しようとした『ロッキー』のように、自らの存在証明の戦いへ挑んでいく。

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著者プロフィール

映画ライター。ペンネームは『シベリア超特急2』に由来し、生前マイク水野監督に「どんどんやってください」と認可されたため一応公認。松濤館空手8級。

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