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明確になったオランダとドイツの力の差
“Cチーム”にも及ばない再建中の“Bチーム”

オランダ再建を託されたファン・ハール

チームの若返りとともにオランダの再建を託されたファン・ハール
チームの若返りとともにオランダの再建を託されたファン・ハール【VI-Images via Getty Images】

 2012年はオランダ代表が痛烈なダメージを負った年だった。スター軍団はユーロ(欧州選手権)2012で分裂し、まさかのグループリーグ3連敗という結果に終わってしまった。2年前のワールドカップ(W杯)・南アフリカ大会で固い絆をみせて世界2位に輝いたオレンジ軍団は、ユーロの優勝を誓っていた。それが脆くも大会中に空中分解し、ピッチの上で守備陣と攻撃陣が前後に分断する形となって現れてしまった。


 8月、ファン・マルワイク監督の後を継いだのは若返りのエキスパート、ルイ・ファン・ハールだった。今さら、ファン・ボメル、ブラルース、(実はまだオランダ代表のメンバーだが)マタイセンといったベテランに頼っても仕方ないだろう。しかし、エールディビジにどれだけオランダ代表のユニホームを着るに値するタレントがいるか、そこが新生オランダの大きな疑問符だった。


 もうひとつ、ヨーロッパのサッカー大国にとって宿命的な問題として、若返りに大きな時間が割けない事情がある。彼らは2年に一度、W杯とユーロがあるため、常に予選で結果を出し続けないといけないプレッシャーがあるのだ。ファン・ハールに与えられた準備試合は8月15日の親善試合、対ベルギーのたった1試合だけ。早くも9月7日にはトルコ戦、11日にはハンガリー戦というライバル国との大事な予選ゲームが控えていた。さらにアンドラ戦を挟み、10月16日にはルーマニアとアウエーで激突する。勝ち癖を失ったオランダにとって、決して簡単なスケジュールではなかった。


 ファン・ハールの監督就任時、オランダではこう懸念されていた。「ファン・ハールは確かにチーム再建に打ってつけの指導者だが、年内のW杯予選でつまづいたら彼へのプレッシャーは相当なものになるだろう。ファン・ハールはベルギー戦で新しいメンバーを試した後、2カ月のうちにライバル国と予選を戦わないといけないのだ。この2カ月が占める割合は全予選の40パーセント。ここで取りこぼしが続くと、後からばん回するのは簡単ではない……」

快勝が続くも力は未知数

 ところが、オランダは予選4試合で勝ち点12というフルマークを記録してしまったのだ。スコアも2−0(対トルコ、ホーム)、4−1(対ハンガリー、アウエー)、3−0(対アンドラ、ホーム)、4−1(対ルーマニア、アウエー)と快勝続き。首位オランダと2位ルーマニア、3位ハンガリーとの勝ち点差はまだ3だが、来年3月の予選再開時にハンガリーとルーマニアは顔を合わせる。一方のオランダはホームでエストニアと対戦する。これが今予選のちょうど折り返しとなり、少なくともオランダと3位になるチームの差は開くだろう。

 

 それでは強いオランダがよみがえったかというと、そうとも言い切れない。どちらかというとトルコ、ハンガリー、ルーマニアが必要以上にオランダをリスペクトし過ぎ、自滅してしまったという印象だ。


 ベルギーとの親善試合からルーマニア戦までの5試合で、ファン・ハールはDFファン・ライン(アヤックス)、フィールヘーファー(AZ)、ヤンマート、デ・フライ、インディ(以上フェイエノールト)、MFマヘール(AZ)、クラーシー(フェイエノールト)、FWスハーケン(フェイエノールト)と8人のエールディビジ・プレーヤーをデビューさせたが、彼らは若返りのプロセスの中で良く健闘してはいるものの、世界とごして戦う力は未知数なのだ。

中田徹
中田徹

1966年生まれ。転勤族だったため、住む先々の土地でサッカーを楽しむことが基本姿勢。86年ワールドカップ(W杯)メキシコ大会を23試合観戦したことでサッカー観を養い、市井(しせい)の立場から“日常の中のサッカー”を語り続けている。W杯やユーロ(欧州選手権)をはじめオランダリーグ、ベルギーリーグ、ドイツ・ブンデスリーガなどを現地取材、リポートしている

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