明確になったオランダとドイツの力の差=“Cチーム”にも及ばない再建中の“Bチーム”
オランダ再建を託されたファン・ハール
チームの若返りとともにオランダの再建を託されたファン・ハール 【VI-Images via Getty Images】
8月、ファン・マルワイク監督の後を継いだのは若返りのエキスパート、ルイ・ファン・ハールだった。今さら、ファン・ボメル、ブラルース、(実はまだオランダ代表のメンバーだが)マタイセンといったベテランに頼っても仕方ないだろう。しかし、エールディビジにどれだけオランダ代表のユニホームを着るに値するタレントがいるか、そこが新生オランダの大きな疑問符だった。
もうひとつ、ヨーロッパのサッカー大国にとって宿命的な問題として、若返りに大きな時間が割けない事情がある。彼らは2年に一度、W杯とユーロがあるため、常に予選で結果を出し続けないといけないプレッシャーがあるのだ。ファン・ハールに与えられた準備試合は8月15日の親善試合、対ベルギーのたった1試合だけ。早くも9月7日にはトルコ戦、11日にはハンガリー戦というライバル国との大事な予選ゲームが控えていた。さらにアンドラ戦を挟み、10月16日にはルーマニアとアウエーで激突する。勝ち癖を失ったオランダにとって、決して簡単なスケジュールではなかった。
ファン・ハールの監督就任時、オランダではこう懸念されていた。「ファン・ハールは確かにチーム再建に打ってつけの指導者だが、年内のW杯予選でつまづいたら彼へのプレッシャーは相当なものになるだろう。ファン・ハールはベルギー戦で新しいメンバーを試した後、2カ月のうちにライバル国と予選を戦わないといけないのだ。この2カ月が占める割合は全予選の40パーセント。ここで取りこぼしが続くと、後からばん回するのは簡単ではない……」
快勝が続くも力は未知数
それでは強いオランダがよみがえったかというと、そうとも言い切れない。どちらかというとトルコ、ハンガリー、ルーマニアが必要以上にオランダをリスペクトし過ぎ、自滅してしまったという印象だ。
ベルギーとの親善試合からルーマニア戦までの5試合で、ファン・ハールはDFファン・ライン(アヤックス)、フィールヘーファー(AZ)、ヤンマート、デ・フライ、インディ(以上フェイエノールト)、MFマヘール(AZ)、クラーシー(フェイエノールト)、FWスハーケン(フェイエノールト)と8人のエールディビジ・プレーヤーをデビューさせたが、彼らは若返りのプロセスの中で良く健闘してはいるものの、世界とごして戦う力は未知数なのだ。