仙台育英・上林らドラフト候補のプレーが光った神宮大会=来年の甲子園で主役になる選手は?

松倉雄太

仙台育英の初優勝を主将として、打者としてけん引した上林誠知(2年)。来年のドラフト候補としても注目される 【写真は共同】

 第43回明治神宮大会は、11月10日から14日に渡って神宮球場で行われ、仙台育英高(東北・宮城)が初優勝を飾った。東北地区の代表校では、昨年の光星学院高(青森)に続いて2年連続優勝となる。これで、来春の第85回記念選抜高校野球大会における『明治神宮大会枠』が東北地区に与えられることになった。

来秋ドラフト候補・上林がチームを引っ張った仙台育英

 仙台育英高は2回戦から登場し、3試合で打率3割3分3厘。夏の甲子園でベスト16、秋の国体で優勝した旧チームからは、4番の上林誠知(2年)がレギュラーで唯一残った。その上林を主将としてまとまった新チームだ。
 主砲の上林は、13打数5安打で7打点。準決勝の北照高(北海道)戦では、勝負を決定づける満塁本塁打を放つなどチームを引っ張った。
 当たればもちろん長打にできる力があるのが上林の持ち味だが、それだけでなくバットコントロールの上手さも際立つ。足も速く、投手が完全に打ち取った当たりを、内野安打にする場面もあった。埼玉県出身で身長184センチ、77キロと恵まれた体格。ドラフト候補として来年はさらに注目を集めそうだ。

 チーム全体としては、早いカウントからでも積極的に打つ好球必打が大きな特徴。それに打ちだしたら止まらない爆発力がある。決勝の関西高(中国地区・岡山)戦では、7連打で相手エースの児山祐斗(2年)をノックアウトした。試合中に、選手同士で相手投手の傾向と対策を話し合い、攻撃の手段に変化を加えていくのがチーム全体の長所。その中心にいる上林の存在がやはり大きいと言える。
 投手陣は鈴木天斗(2年)と馬場皐輔(2年)の2枚看板で交互に先発した。エースナンバーの鈴木は、東北大会で絶好調だった馬場の姿に奮起。約2週間、登板せずに、外野を守りながら配球などを勉強したという。今大会では、東北大会とは違ったピッチングスタイルが光った。
 馬場は、先発した準決勝で1失点と好投。たが、リリーフした2試合では、力みが目立ちコントロールを乱した。課題ははっきりとしているが、献身的に支えるのが捕手の小林遼(2年)。不安な顔をする馬場を時には叱咤(しった)して、本来のピッチングを取り戻させた。
 明治神宮大会を制し、上林主将は「これからは目標とされる。自覚を持たなくては」と気を引き締めた。世代最初の全国制覇は、もちろん出発点でもある。

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著者プロフィール

 1980年12月5日生まれ。小学校時代はリトルリーグでプレーしていたが、中学時代からは野球観戦に没頭。極端な言い方をすれば、野球を観戦するためならば、どこへでも行ってしまう。2004年からスポーツライターとなり、野球雑誌『ホームラン』などに寄稿している。また、2005年からはABCテレビ『速報甲子園への道』のリサーチャーとしても活動中。

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