新サーキットでチャンピオン決定の可能性も=F1 第19戦アメリカGP見どころ
全員が初めてのサーキット
今回もベッテルが優勝候補の最右翼であることは間違いない。年間チャンピオン決定はなるか 【Getty Images】
アメリカGPが行われるのは、新設されたサーキット・オブ・ジ・アメリカズ。F1サーキットデザイナーとして有名なヘルマン・ティルケが設計し、テキサス州オースティンに建設された。通常のサーキットとは異なる反時計回りのコースで、コーナーの数は20、約40メートルにもなる高低差が大きな特徴だ。
イギリスGP開催サーキットであるシルバーストンの高速区間マゴッツ・ベゲッツや、トルコGPのターン8など、攻略が難しいことで知られるコーナーを模した部分もある。コース序盤には高速コーナーが連続しているため、ここでタイヤに大きな負担がかかる。
タイヤサプライヤーのピレリがアメリカへ持ち込むタイヤは、4種類あるコンパウンドのうち最も硬い組み合わせであるミディアムとハード。未知の要素が多い新サーキットであるため、ピレリは保守的な選択をした。ミディアムはタイヤ側面のロゴが白、ハードは銀で描かれ、決勝では雨用のタイヤを使用しない限り、両方のコンパウンドを使用しなければならない。
サーキット・オブ・ジ・アメリカズは、今年に新設されたサーキットであるため、全ドライバーにとって初サーキットになる。各チームとも、シミュレーターでのデータと実際に走行したデータを比較するため、金曜のフリー走行からいつもより大目に走り込むことも予想される。そのため、ピレリは金曜日にハードタイヤをいつもより1セット多く供給する。
新設サーキットであることから、サーキットにラバーが乗っておらず、路面が滑りやすい状態で開幕を迎えることになる。その後、走行を重ねるごとに路面にラバーが乗ってグリップが増していくが、その路面変化を考慮に入れながらセットアップを進めなければならない。
新サーキットでのデータ収集を行いつつ、路面状況の変化も考慮しながらのセットアップ。全ドライバーにとって初サーキットという意味では平等な条件になるが、短時間で多くの作業をこなしていく必要もあり、ドライバーの経験やチームの総合力も問われるグランプリになる。
ベッテルが優勝候補の最右翼
レース優勝で獲得できるのは25ポイントであることから、アメリカGP終了時点でベッテルがアロンソに25ポイント以上の差をつければ、ベッテルのタイトルが確定する。一方、アメリカGPでアロンソが優勝し、ベッテルがノーポイントに終わった場合、アロンソはランキング首位に立つが、ポイント差は15ポイントのみになることから、アロンソがアメリカGPでタイトルを確定することはできない。
ベッテルは、アメリカGPでアロンソよりも15ポイント多く獲得すればタイトル確定となる。ベッテル優勝の場合、アロンソが5位以下。ベッテル2位の場合、アロンソが9位以下。ベッテルが3位の場合はアロンソがノーポイントになると、ベッテルがF1史上最年少での3連覇を確定させることになる。
シーズン終盤に入って速さを増したレッドブルのベッテルが今回も優勝候補の最右翼だろう。これに対抗するとみられるのがマクラーレン勢。そして、まだタイトルの可能性を残しているアロンソも、わずかなチャンスでもあれば優勝を狙ってくるはずだ。
そして、前戦アブダビGPでF1復帰以来初となる優勝を果たしたキミ・ライコネン(ロータス)からも目が離せない。タイトルを争うベッテルかアロンソが優勝するのか、それとも別のドライバーが新設サーキット初の勝者になるのか、チームの総合力が問われる新サーキットでの戦いに注目が集まる。
小林可夢偉、ザウバーの動向は?
また、ザウバーは現在、メルセデスAMGとチームランキング5位を争っている。現在、ランキング5位のメルセデスAMGと6位ザウバーのポイント差は12ポイント。残りの2戦で12ポイント差を逆転し、ランキング5位でシーズンを終えたいところだ。
新設されたサーキット・オブ・ジ・アメリカズで復活するF1アメリカGPは、16日(金)現地時間9時(日本時間24時)に開幕。決勝は、18日(日)現地時間13時(日本時間28時)にスタートする。
<了>
- 前へ
- 1
- 次へ
1/1ページ