インドネシアからやって来たバイオレンス・スパルタンX

しべ超二

インドネシア格闘技「プンチャック・シラット」をふんだんに取り入れた異色のアクション映画『ザ・レイド』を紹介! 【(c)MMXI PT. MERANTAU FILMS】

 日本ではまだあまり馴染みのないインドネシア映画から、ノンストップ・ハイテンション・アクションムービー『ザ・レイド』がやって来た。そう書くと、「強すぎ! 殺りすぎ! 敵多すぎ!」のキャッチコピーともども、何やら誇大広告のように響くかしれないが、看板に偽りなし。銃撃・剣戟(けんげき)・未知の格闘技プンチャック・シラットを使った肉弾戦と、過剰なまでにバトルてんこ盛りな本作を紹介しよう。

 麻薬王が潜む30階建ての高層ビルに、20人のSWATが強制捜査(=RAID/レイド)に乗り込み壮絶バトルを繰り広げる、というのが単純明快な本作のストーリー。全102分の本編のうち、突入までの冒頭とエンドロールを除いた約95分はとにかくアクションに明け暮れる。
 あまりスゴい、アクション満載! などと書くと、またこの手のコラムにありがちな水増し・過剰表現かと思われるだろうが、本作は第36回トロント国際映画祭ミッドナイト・マッドネス部門で観客賞を受賞。“マッドネス”と言えば、どうにも船木誠勝を思い浮かべずにいられない訳だが、あんな感じのマッドネスを想像してもらって相違ない。やれナイフで刺しまくったり、警棒で強打したりと、やっつけ方・やられ方といったら痛そうなことこの上ない。ハード描写で堂々のR‐15指定となっており、まさに子どもには見せられない作品だ。

アクションアイデアの冴える出来栄え

徹底してアクション&バトルのつるべ打ち! 【(c)MMXI PT. MERANTAU FILMS】

 麻薬王&手下が巣食うビルに乗り込んだSWATは、突入当初こそ余裕の雰囲気を漂わせるが、手下の1人が侵入を告げるブザーを開始のゴングばりに響かせると、一気に劣勢へ転じてしまう。そして映画はここから『SAW ソウ』ばりのソリッド・シチュエーション・スリラー、いやソリッド・シチュエーション・アクションというべき展開を見せる。

 明かりを落とされ目も利かぬような暗闇で、ビルの構造を勝手知ったる一味に襲われ、1人また1人と倒れていくSWAT隊員。暗闇の中で突如襲われるため、観客も同様の緊張とストレスを強いられる。
 そしてひとたびSWATと麻薬一味の交戦が始まると、そこから先はもう徹底してアクション&バトルのつるべ打ち。上階から飛び降りてきた敵をタックルでキャッチ→そのまま窓まで運んで即リリースなど、そのほか詳細は避けるが、見たことのない格闘シーンが頻出し、アクションアイデアの冴える出来栄えとなっている。

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著者プロフィール

映画ライター。ペンネームは『シベリア超特急2』に由来し、生前マイク水野監督に「どんどんやってください」と認可されたため一応公認。松濤館空手8級。

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