メッシ・システムを模索し続けるアルゼンチン=2つの課題をいかに解決すべきか
カウンターという形は確立したが
アルゼンチンはいまだにメッシ(写真)を生かすためのシステムを模索している 【写真:AP/アフロ】
アルゼンチン代表が2012年に得た収穫。それは余計なプレッシャーから解放されたメッシがチームにおける絶対的なリーダーとなったことだ。今やアルゼンチンにおけるメッシの重要性は、シャビ・エルナンデスやアンドレス・イニエスタ、カルレス・プジョル、ジェラール・ピケらスターたちと主役の座を分かち合うバルセロナとは比べものにならないくらい高いものになった。
コパ・アメリカ(南米選手権)での失敗後にセルヒオ・バティスタ前監督の後を継いだアレハンドロ・サベーラの下、アルゼンチンはアンヘル・ディ・マリアやセルヒオ・アグエロ、ゴンサロ・イグアインがメッシをサポートする形で攻撃陣のメンバーを固めてきた。しかし、現時点ではまだ攻撃の形が確立されたと言うことはできない。スペースがあり、カウンターを仕掛けられる状況でしか彼らの攻撃は機能していないからだ。
そのため現在のアルゼンチンは、一度リードを得て堅守速攻に徹するとなかなか負けにくいチームになった。彼らが仕掛けるカウンターの1つひとつが、かなりの確率でゴールや決定機につながるからだ。前がかりに攻撃を仕掛けてきたライバルに対し、アルゼンチンが鋭いカウンターから追加点を重ねていく。そんな試合展開は今年行われたW杯予選だけでなく、ニューヨークのブラジル戦(4−3)、フランクフルトのドイツ戦(3−1)、ベルンのスイス戦(3−1)といった親善試合で何度も見られた。
戦術的進歩を見せたスイス戦
この時、アルゼンチンは中盤横並びの4−4−2のシステムを用い、ボランチ2人とサイドハーフ2人が敵陣からアグレッシブにプレスをかけていた。サイドハーフに起用されたのはマキシ・ロドリゲスとホセ・ソサで、前線ではメッシとイグアイン(時にアグエロ)が2トップを組んだ。
だが、チーム内での発言力を強めたメッシは、より多くのアタッカーを起用するようサベーラに要求。その後サベーラは、守備時は4−3−3、攻撃時は4−2−4となる変則システムを取り入れるのだが、それは守備時はボランチ、攻撃時はウイングとしてプレーする二重の負担をディ・マリアが担わなければ成立しない戦術だった。
サベーラはこのシステムの需要に合う選手として、フェルナンド・ガゴとハビエル・マスチェラーノをボランチに起用している。バルセロナでは中盤でプレーする機会がなくなっているものの、マスチェラーノは前線のアタッカーたちに好パスを配給する役割をよくこなしており、チームは攻撃面で確かな向上を見せはじめている。