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メッシ・システムを模索し続けるアルゼンチン
2つの課題をいかに解決すべきか

カウンターという形は確立したが

アルゼンチンはいまだにメッシ(写真)を生かすためのシステムを模索している
アルゼンチンはいまだにメッシ(写真)を生かすためのシステムを模索している【写真:AP/アフロ】

 フットボールに矛盾はつきものだ。今やアルゼンチン代表におけるリオネル・メッシは議論の余地のない存在となった。そしてアルゼンチンは今年に入って以降、2014年ワールドカップ(W杯)予選で首位を快走し、親善試合でも素晴らしい結果を出し続けている。にもかかわらず、いまだに彼らはメッシを生かすためのシステムを模索し続けているのである。


 アルゼンチン代表が2012年に得た収穫。それは余計なプレッシャーから解放されたメッシがチームにおける絶対的なリーダーとなったことだ。今やアルゼンチンにおけるメッシの重要性は、シャビ・エルナンデスやアンドレス・イニエスタ、カルレス・プジョル、ジェラール・ピケらスターたちと主役の座を分かち合うバルセロナとは比べものにならないくらい高いものになった。


 コパ・アメリカ(南米選手権)での失敗後にセルヒオ・バティスタ前監督の後を継いだアレハンドロ・サベーラの下、アルゼンチンはアンヘル・ディ・マリアやセルヒオ・アグエロ、ゴンサロ・イグアインがメッシをサポートする形で攻撃陣のメンバーを固めてきた。しかし、現時点ではまだ攻撃の形が確立されたと言うことはできない。スペースがあり、カウンターを仕掛けられる状況でしか彼らの攻撃は機能していないからだ。


 そのため現在のアルゼンチンは、一度リードを得て堅守速攻に徹するとなかなか負けにくいチームになった。彼らが仕掛けるカウンターの1つひとつが、かなりの確率でゴールや決定機につながるからだ。前がかりに攻撃を仕掛けてきたライバルに対し、アルゼンチンが鋭いカウンターから追加点を重ねていく。そんな試合展開は今年行われたW杯予選だけでなく、ニューヨークのブラジル戦(4−3)、フランクフルトのドイツ戦(3−1)、ベルンのスイス戦(3−1)といった親善試合で何度も見られた。

戦術的進歩を見せたスイス戦

 しかしながら、まだサベーラにはたくさんの修正、再考すべき課題が残されている。以前このコラムにも書いたが、3月のスイス戦でアルゼンチンは重要な戦術的進歩を見せた。チーム全体のラインを押し上げ、敵陣の高い位置からハイプレスをかけるという、バルセロナに似た守備戦術を取り入れたのである。それは相手ゴールに近い位置でボールを奪うことで、それまで自陣の低い位置からドリブルで長い距離を持ち運ばなければならなかったメッシの負担を軽減し、より高い位置でゴールに直結するプレーに集中させることが目的だった。


 この時、アルゼンチンは中盤横並びの4−4−2のシステムを用い、ボランチ2人とサイドハーフ2人が敵陣からアグレッシブにプレスをかけていた。サイドハーフに起用されたのはマキシ・ロドリゲスとホセ・ソサで、前線ではメッシとイグアイン(時にアグエロ)が2トップを組んだ。


 だが、チーム内での発言力を強めたメッシは、より多くのアタッカーを起用するようサベーラに要求。その後サベーラは、守備時は4−3−3、攻撃時は4−2−4となる変則システムを取り入れるのだが、それは守備時はボランチ、攻撃時はウイングとしてプレーする二重の負担をディ・マリアが担わなければ成立しない戦術だった。


 サベーラはこのシステムの需要に合う選手として、フェルナンド・ガゴとハビエル・マスチェラーノをボランチに起用している。バルセロナでは中盤でプレーする機会がなくなっているものの、マスチェラーノは前線のアタッカーたちに好パスを配給する役割をよくこなしており、チームは攻撃面で確かな向上を見せはじめている。

セルヒオ・レビンスキー/Sergio Levinsky
セルヒオ・レビンスキー/Sergio Levinsky

アルゼンチン出身。1982年より記者として活動を始め、89年にブエノス・アイレス大学社会科学学部を卒業。99年には、バルセロナ大学でスポーツ社会学の博士号を取得した。著作に“El Negocio Del Futbol(フットボールビジネス)”、“Maradona - Rebelde Con Causa(マラドーナ、理由ある反抗)”、“El Deporte de Informar(情報伝達としてのスポーツ)”がある。ワールドカップは86年のメキシコ大会を皮切りに、以後すべての大会を取材。現在は、フリーのジャーナリストとして『スポーツナビ』のほか、独誌『キッカー』、アルゼンチン紙『ジョルナーダ』、デンマークのサッカー専門誌『ティップスブラーデット』、スウェーデン紙『アフトンブラーデット』、マドリーDPA(ドイツ通信社)、日本の『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿

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