ジェイソン・ステイサムのMMA姿にクートゥアを見た!=「帰ってきたシネマ地獄拳」第3回

しべ超二

“世界一カッコいいハゲ男”ステイサムが元特命刑事の総合格闘技ファイターを熱演 【(c)2011 Safe Productions LLC All Rights Reserved】

 映画コラム「帰ってきたシネマ地獄拳」第3回は『トランスポーター』『アドレナリン』といったヒットシリーズで知られ、最強軍団『エクスペンダブルズ』にも名を連ねるジェイソン・ステイサムの主演作『SAFE/セイフ』。「現役最高」とも謳われる、アクションスターが見せる肉弾バトルの魅力に迫る。

■“偉大な先達”ブルース・ウィリスとも共演

“世界一カッコいいハゲ”という上げてるんだか下げてるんだか分からないキャッチフレーズで呼びたくなる、ジェイソン・ステイサムの最新作がやってきた。
 実際にこのステイサム、米Spike TVで行われた「Who’s the baddest bald badass?」(最高にカッコいいハゲの不良は誰だ?)という決選投票でヴィン・ディーゼルとの頂上対決に臨み、見事勝利しているというから、斯界においては最高峰に位置する存在。世界最高のハゲ、いや、“最高にカッコいいハゲの不良”という訳だ。
 その栄誉を持って男の子がいま一番入りたいグループ=『エクスペンダブルズ』(女の子ならAKB48)にも第1作から堂々入党を認められ、その分野の偉大な先達であるブルース・ウィリスと肩を並べている。

 ステイサムは水泳・飛び込みの元選手で、イギリス代表としても活躍したという変わり種。水泳選手は発達した逆三角形の体でミル・マスカラスを思わせることも多いが、ステイサムも水泳時代の名残であるか見事な体型をキープしており、その姿はスクリーンに映える。水泳選手の後はモデルに転身してキャリアを積んでおり、『SAFE/セイフ』でも見せるスーツの着こなし、歩いたりといったちょっとした身のこなしも決まって見えるのは、モデル時代の経験が活きているのだろう。

クートゥアの伝記映画でも主役行ける!?

『エクスペンダブルズ』メンバー、ステイサムのアクションシーンに注目 【(c)2011 Safe Productions LLC All Rights Reserved】

 そんなステイサムが本作『SAFE/セイフ』で演じているのは、秘密を握りロシアン・マフィアとチャイニーズ・マフィア、さらに汚職警官グループから三つ巴で追われる天才少女を守る元特命刑事という役柄。ステイサム演じるルーク・ライトはある陰謀に巻き込まれて刑事の職を追われており、現在は八百長試合に手を染めるマイナー総合格闘技の選手に身を落としている。
 映画冒頭でそのMMAシーンが描かれるのだが、ファイト・ショーツに身を包み、オープン・フィンガー・グローブを手にしたステイサムはなかなかの決まりぶり。この場面は一瞬といっていい早さで切り替わってしまうのだが、その短さが残念に思われるほど。ウェルター級(77.11kg以下)ぐらいに見えるステイサムはライトヘビーとヘビー級で活躍した本人に比べるとやや小ぶりではあるものの、同じ『エクスペンダブルズ』軍団であるランディ・クートゥアの伝記映画が企画されても行けてしまうのでは? などと妄想させた。
(ちなみにこのMMAシーン、禁止されているニューヨークではなく、お隣ニュージャージーで行われた設定になっているところがこだわりを感じさせリアル)

 劇中ではカーチェイス・銃撃戦・肉弾戦のアクション映画3大要素がてんこ盛り。陽光うららかなニューヨークでだいぶ激しくドンパチやっており、「その時、NYは戦場と化した――」なんて全く不要なキャッチコピーが頭に浮かんだりした次第。
 立ち回りも現在MMAファイターという役柄のため拳骨バトル。ステイサムはヘッドバッド、ヒジ打ちと体の硬い部分を有効に使い、さらにはバックハンドエルボー、足を上げて相手の蹴りをカット→そのまま足を下ろす前にストレート、投げっぱなしジャーマンと大技も繰り出してみせる。
 地下鉄、市街地、ホテル、裏カジノとバトルの連続で駆け抜ける本編は、94分と『エクスペンダブルズ』総帥であるスタローンの傑作ロードムービー『オーバー・ザ・トップ』(1987)と同じ上映時間。
 秘密を知った女性を守ってひたすら逃げる、同じスタローンの『コブラ』(1986、88分)あたりも思わせる、2012年作でありながら80年代の香り漂う作品だ。

映画『SAFE/セイフ』は全国公開中
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著者プロフィール

映画ライター。ペンネームは『シベリア超特急2』に由来し、生前マイク水野監督に「どんどんやってください」と認可されたため一応公認。松濤館空手8級。

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