取材記者らが語る「日本ラグビー今季の展望」

スポーツナビ
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提供:(公財)日本ラグビーフットボール協会

稲垣事業委員長(左)、吉田氏(中)、村上氏が今季のラグビーについて語った 【スポーツナビ】

 9月24日に開催された、東京都港区と日本ラグビー協会が主催する「みなとスポーツフォーラム 2019年ラグビーワールドカップに向けて」は、日本ラグビー協会事業委員長の稲垣純一氏、ラグビージャーナリストの村上晃一氏、サンケイスポーツ新聞社ラグビー担当記者の吉田宏氏を迎え、今シーズンの展望を語った。

“SBW効果”で観客増 東芝は強みを生かして本領発揮

村上氏「まずはトップリーグの話題から。第4節の東芝vs.パナソニックは盛り上がりましたが、観客も1万2000人を超えました。ここまでの観客動員数はいかがですか?」

稲垣事業委員長「4節までで前年比119%と好調です。目標の40万人という数字に向かっては良いペースと言えます。好調の理由としては天気が良かったことと、去年はワールドカップの敗戦の後でスタートが悪かったんですが、今年は期待感を持っていただけていることが挙げられると思います。
 また、ソニー ビル・ウィリアムズ(SBW)の効果もありますね。22日の秩父宮で彼の人気を目の当たりにしました。札幌のNTTコミュニケーションズ戦でも悪天候の中、2000人以上の方々に来ていただき、試合後は500人ぐらいが彼が出てくるのを待っている状態でした」

村上氏「そのSBWも出場した東芝vs.パナソニックは東芝が実力を発揮しましたが、吉田さんはどう見られましたか?」

吉田氏「東芝は望月、大野をLOに置いて、力強さを前面に出しました。調子が出なかった第2節が終わってから、チームの方針である『スタンディングラグビー』をより強く意識させた練習をして、それが結果につながりました。
 一方のパナソニックは、ディフェンスで一気のカウンターラックからボールを奪い取って、トライを取り切るという強みが薄れています。相手としてもトライまで持っていかれる怖さがないのではないでしょうか。トニー・ブラウンがいなくなって、マイク・デラーニがSOを務めていますが、デラーニ中心の新しいスタイルにするか、カウンターラックでボールを奪うディフェンスを復活させるか、チームとして岐路に立っていると思います」

スクラムにこだわるヤマハ 運動量に不安が残るリコー

日本ラグビー協会事業委員長を務める稲垣純一氏 【スポーツナビ】

稲垣事業委員長「全体的には競った試合が増えています。これは昇格組のキヤノンと九州電力の頑張り、NTTコムやヤマハが自身のスタイルを確立しつつあることが影響していると思います。ヤマハのサニックス戦(53対27で勝利)を見てきましたが、CTBのマレ・サウの動きがキレキレで、元オールブラックスのFLジェリー・コリンズもよく働いていました。とにかくスクラムにこだわっていて、長谷川慎コーチは試合中もずっとスクラムのことを話していましたね」

吉田氏「ヤマハはスクラムだけを組むためにフランス遠征をしたんですが、それを聞いたフランス人に『おまえらは良いやつだな』と言われたそうです。彼らはスクラムを大事にするので」

村上氏「フランス人が『せっかく日本から来たんだから、ラインアウトの練習もやろうか?』と聞いても、『スクラムだけでいい』と断ったらしいですから、こだわりが違いますね」

稲垣事業委員長「シーズンを考えると、サントリーと東芝が中心になると思います。サントリーは大久保新監督になりましたが、芯の部分は変わらず戦えています。CTBでニコラスが怪我をしても宮本(啓希)が、ゴールキックでは小野(晃征)がフォローしています」

吉田氏「リコーは4連敗と低迷していますが、運動量が足りなくて、アタックの方向性もずれています。早い時期に立て直さないと、入れ替え戦の危機ですね。あるOBは練習量が減っているのではないかと心配していました。
 練習量については世界はいろいろ動いていて、スーパーラグビーのクインズランド・レッズは試合前日に4キロ走るそうです。日本は試合前は軽い練習だけのチームが多いんですが、NTTコムはレッズとまではいかないですけど、試合前日にもかなり走り込んでいます。一週間の走る総距離、その中でトップスピードでどれだけ走るか、そのあたりをしっかりメニューに組み込む流れができています。
 そう考えるとリコーは終盤に足が止まっているので、走る部分をどう考えていくかが大事になると思います」

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