クビ差惜敗オルフェーヴル、勝敗の分かれ目は不良馬場か=JRA−VAN 合田直弘の凱旋門賞回顧

JRA-VAN

枠順不利にも関わらず単勝1番人気

いったん先頭に抜け出したオルフェーヴル(左)だったが、ゴール寸前で差され無念の2着 【写真:ロイター/アフロ】

 欧州競馬の総本山である芝2400m路線の、シーズン掉尾を飾る総決算となる凱旋門賞。ここ2週間ほどパリの天候は悪く、当日の馬場状態は、8段階評価で硬い方から数えて6番目となる「Collant」。日本の基準に照らし合わせるなら「不良」のコンディションの中で行われた。

 18頭立ての18番という不利な枠順をひいたにもかかわらず、日本から参戦したオルフェーヴル(牡4)が4.5倍の1番人気。英国の2冠馬で、鞍上に名手フランキー・デットーリを配したキャメロット(牡3)が4.8倍の2番人気。今年のGI仏ダービー馬で、前哨戦のGIIニエル賞快勝のサオノワ(牡3)が6.5倍の3番人気に支持された。

ワールドクラスの力量は十分アピールした

 キャメロット陣営の用意したラビッドのアーネストヘミングウェイ(牡3)が逃げ、キャメロットとサオノワが中団。大外枠から出たオルフェーヴルは、鞍上スミヨンがじわじわと内に入れつつも、後ろから2〜3頭目というポジションに落ち着いた。

 隊列に大きな変化は見られないまま馬群が直線に向くと、大外を馬なりのまま進出してきたのがオルフェーヴル。あっと言う間に先頭に立つと、後続を3馬身ほど引き離し、この段階では観衆の多くがオルフェーヴルの勝利を確信したところ、残り100mを切って矢のように伸びて来たのが、道中終始内ラチ沿いの好位で競馬をしていたソレミア(牝4)で、最後の最後にオルフェーヴルをクビ差かわして優勝を飾った。

 今年5月、サンクルーのGIIコリーダ賞を制して重賞初制覇を果たしたソレミア。続くドーヴィルのGIIポモーヌ賞が4着、前走ロンシャンのGIヴェルメイユ賞3着という成績でここへ臨んでいたが、豪華メンバーのそろった凱旋門賞では、その実績は明らかに格下で、ファンの評価もオッズ42倍の12番人気というものだった。

 何とも惜しい2着だったが、1・2着馬を分けたのは、不良馬場への適性の差だったことは間違いなく、オルフェーヴルがワールドクラスの力量を持つ馬であることは、十分にアピールできた一戦だった。

(文・合田直弘/提供・JRA−VAN)
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