可夢偉、バトンとの死闘を制してつかんだ表彰台=絶好のスタート、終盤の猛プッシュで快挙達成

田口朋典

鈴鹿では22年ぶりの日本人表彰台

鈴鹿では22年ぶりとなる日本人表彰台を獲得した可夢偉 【写真:ザウバー】

 2012年10月7日、秋晴れとなった鈴鹿サーキットに詰めかけた10万3000人の観客の目の前で、3番手からスタートした小林可夢偉(ザウバー)が見事3位表彰台を獲得。1990年に鈴木亜久里が達成して以来、鈴鹿では22年ぶりとなる快挙が再現された。

 日本のモータースポーツファンが待ちわびたこの日が、ついに訪れた。午後3時03分、レッドシグナルがブラックアウトした瞬間、「これを見て、スタートが悪かったと言われたら、どれだけロケットスタートを決めないといけないんだ、っていうくらいの良いスタートができた」と、アウト側3番グリッドから今季一番ともいえる絶好のスタートを決めた可夢偉は、イン側に切れ込みながらマーク・ウェバー(レッドブル)をかわして1コーナーまでに2位に浮上した。

 その直後、可夢偉の後方ではキミ・ライコネン(ロータス)とフェルナンド・アロンソ(フェラーリ)が絡み、アロンソがスピンしてリタイア。さらに2コーナーではロメ・グロジャン(ロータス)がウェバーに追突したことに端を発して、ニコ・ロズベルグ(メルセデスAMG)がスピンアウトするなど、アクシデントが多発し、いきなりセーフティカーが導入されることとなった。これまでなら、不運にもこうしたアクシデントに巻き込まれるケースが多かった可夢偉だが、この日はほぼトラブルフリー。「セーフティカー明けのリスタートではギアが一瞬スタックしてセバスチャン(ベッテル=レッドブル)に大きく引き離されてしまった」と苦笑いを見せた可夢偉だったが、トップを行くベッテルには引き離されたものの、3番手のジェンソン・バトン(マクラーレン)をじりじりと引き離すなど力強いレースを続けた。

 2番手のまま迎えた14周目、可夢偉は最初のピットイン。この日ばかりはザウバーチームのピット作業も3秒5と素早く、1周先にピットに入っていたバトンの前に可夢偉を送り出すことに成功した。

 この直後ピットを引き延ばしていたダニエル・リチャルド(トロ・ロッソ)に引っ掛かったものの、17周目、得意のヘアピンでオーバーテイク。だが、このロスが響いて17周目にピット作業を終えたフェリペ・マッサ(フェラーリ)に先行され3番手に落ちた。

1/2ページ

著者プロフィール

1966年生まれ。大学卒業後、趣味で始めたレーシングカートにハマり、気がつけば「レーシングオン」誌を発行していたニューズ出版に転職。隔週刊時代のレーシングオン誌編集部時代にF1、ル・マン、各種ツーリングカーやフォーミュラレースを精力的に取材。2002年からはフリーとなり、国内外の4輪モータースポーツを眺めつつ、現在はレーシングオン誌、オートスポーツ誌、CG誌等に執筆中。自身のブログ“From the Paddock”(スポーツナビ+ブログで)では、モータースポーツ界の裏話などを披露している

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント