白熱のチャンピオン争いで存在感放つライコネン=F1

田口朋典

好調のマクラーレン勢、安定した走りを見せるアロンソ

シンガポールGPで優勝を果たしたベッテル(右から二人目)とランキングトップのアロンソ、白熱のチャンピオン争いが続く 【写真:ピレリ】

 恒例となったナイトレースのF1シンガポールGPが終わり、いよいよ10月5日には鈴鹿サーキットを舞台にF1日本GPが開幕する。ここでは夏休み明け後に行われた3レース、ベルギー、イタリア、そしてシンガポールを踏まえ、待望の日本GPを占ってみたい。

 1カ月に渡るインターバルの後、ステップアップを果たしたのはマクラーレンだった。ベルギーGPではジェンソン・バトンが抜群の安定感とスピードを披露し、開幕戦以来の2勝目を挙げ、続くイタリアGPではルイス・ハミルトンが今季3勝目をマーク。惜しくもリタイアを喫し連勝こそならなかったものの、ハミルトンはシンガポールでもポールポジションを獲得。代わってバトンが健闘の2位を手にするなど、終盤戦に向けてマクラーレンが飛躍を遂げたことは誰の目にも明らかだ。ハミルトンに関しては、いまだくすぶっている来季のドライバー契約に向けても、大きな影響を及ぼしていることだろう。昨年の鈴鹿ではバトンが優勝しているだけに、マクラーレンは鈴鹿でも速いはずだ。

 一方、マーク・ウェバー(レッドブル)の目を覆わんばかりの不振とは対象的に、セバスチャン・ベッテル(レッドブル)はペースを取り戻しつつある。ベルギーGPでは2位を獲得し、イタリアGPではオルタネータのトラブルが再発し不安は残るものの、シンガポールでは待望の今季2勝目を飾ってランキング2位に浮上。じりじりとトップのフェルナンド・アロンソ(フェラーリ)とのギャップを縮めつつある。過去2勝するなど、鈴鹿を得意とするベッテルとしては、ここでアロンソとの間合いをさらに詰めたいところだろう。

 また、ポイントリーダーとして後半戦に臨んでいるアロンソは、決してベストマシンとは言い難いフェラーリを駆って高い安定感を発揮している。ベルギーGPではロメ・グロジャン(ロータス)の特攻を受けてリタイアの憂き目に遭ったが、イタリアGP、シンガポールGPでは連続3位に食い込み、ベッテルらの追撃によるマージンの減少を最低限に留めることに成功している。ライバルたちが勝利しても確実に自身が表彰台に立ち続けることで、このままならば逃げ切りタイトルが見えて来る。言い換えれば、まさに強者の戦いぶり。もちろん過去鈴鹿で2勝をマークしているアロンソは、今年の日本GPでも間違いなく優勝候補となる。

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著者プロフィール

1966年生まれ。大学卒業後、趣味で始めたレーシングカートにハマり、気がつけば「レーシングオン」誌を発行していたニューズ出版に転職。隔週刊時代のレーシングオン誌編集部時代にF1、ル・マン、各種ツーリングカーやフォーミュラレースを精力的に取材。2002年からはフリーとなり、国内外の4輪モータースポーツを眺めつつ、現在はレーシングオン誌、オートスポーツ誌、CG誌等に執筆中。自身のブログ“From the Paddock”(スポーツナビ+ブログで)では、モータースポーツ界の裏話などを披露している

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