伝統あるフェラーリの聖地、縁石の攻略が重要=F1第13戦イタリアGP見どころ
ストレートが特徴のモンツァ・サーキット
モンツァ・サーキットはフェラーリの聖地としても知られ、ティフォシが独特な雰囲気を作り出す 【Getty Images】
9月7日に開幕するイタリアGPの舞台となるのは、ミラノ近郊モンツァの国立公園内にあるモンツァ・サーキット。F1が世界選手権となった1950年から、1年を除いて毎年イタリアGPを開催してきたサーキットであり、フェラーリの聖地、おひざ元と言われることも多い。
フェラーリの地元ということもあり、赤いキャップや服に身を包んだティフォシ(熱狂的フェラーリファン)が毎年モンツァを赤く染め、独特な雰囲気を作り出している。また、レース後にはホームストレート上にティフォシがなだれ込み、表彰台に登ったドライバーを祝福する光景が恒例だ。これもあり、モンツァの表彰台はホームストレートにせり出すような形状になっており、ティフォシがより近い位置からドライバーを祝福できる。
そんなモンツァの特徴はストレート。長いストレートをシケインや低速コーナーでつないだ形状になっており、ストレートでの最高速が重要になる。そのため、モンツァではほかのサーキットとは大幅に異なるウイングを使用し、極限まで空気抵抗を減らしたセッティングが採用される。
また、非常に高速な状態からシケインや低速コーナーで急激に減速するため、ブレーキング時の安定性も重要な要素となる。しかし、最高速を伸ばすため空気抵抗を極限まで減らすことで、車体を地面へ押し付けるダウンフォースも、ほかのサーキットに比べると大きく減っている。これにより、クルマが不安定になってしまうため、最高速とブレーキング時の安定性の間で、うまい妥協点を探るのがモンツァでの難しさになる。
重要になる縁石の使い方
追い抜きが少なくなっていることが問題視されていた近代F1だが、モンツァは以前から「抜けるサーキット」として知られてきた。最も大きなチャンスになるのは、第1シケイン。このコースで最もスピードの出るメインストレートからシケインに向けて一気に減速する場所だ。
時速350キロに迫るスピードでストレートを駆け抜けるクルマが横並びの状態になり、1コーナーに向けてブレーキング競争をする光景は、見どころの1つになる。また、もう1個所、追い抜きのチャンスになるのが、8から10コーナーにかけてのアスカリ・シケイン。右コーナーが2つ続くレズモを抜けた後のストレート区間で前走車の背後につけ、アスカリ・シケインへの飛び込みで抜く形になる。
タイヤサプライヤーのピレリがモンツァへ持ち込むのは、4種類あるタイヤのうち最も硬い組み合わせであるミディアムとハード。ミディアムはタイヤ側面のロゴなどが白、ハードは銀で書かれている。決勝では、雨用のタイヤを使用しない限り、この2種類両方のタイヤを使わなければならない。