予測が難しい今季のF1、後半戦も“カオス”か=期待される可夢偉の巻き返しと表彰台獲得

田口朋典

“誰が勝つか分からない”大混戦

アロンソ(中央)が混戦をトップで抜け出したものの、後半戦も予測しにくい展開となりそうだ 【Getty Images】

 7月29日にハンガリーでルイス・ハミルトン(マクラーレン)が今季2勝目をマークしてから約1カ月。ようやく長かったサマーホリデーも今週末で終わり、チャレンジングなことで知られる伝統あるグランプリサーキット、スパ・フランコルシャンでのベルギーGPから2012年シーズンのF1後半戦がスタートする。

 安全規定の見直しによって登場した段付きノーズ、そしてブロウンディフューザーの廃止によってクローズアップされたダブルDRS(可変リアウイング)など、ハードウエアの面でも興味深いシーズンとなっている今季だが、それ以上にファンの目を引き付けたのは、“誰が勝つか分からない”という序盤戦での大混戦だった。

 開幕戦のオーストラリアをジェンソン・バトン(マクラーレン)が制した後、雨のマレーシアではフェルナンド・アロンソ(フェラーリ)が優勝。さらに第3戦の中国ではニコ・ロズベルグ(メルセデスAMG)がポール・トゥ・ウインで初優勝。昨シーズンの覇者セバスチャン・ベッテル(レッドブル)がようやくバーレーンで凱歌(がいか)をあげるも、スペインでは伏兵パストール・マルドナード(ウィリアムズ)があっと驚くポール・トゥ・ウイン。さらにモナコではマーク・ウェバー(レッドブル)、カナダではルイス・ハミルトンがそれぞれ今季初優勝を飾ったことで、なんと7戦して7人の異なるウイナーが誕生するに至り、混迷の度合いはまさに頂点に達した。

頭ひとつ抜け出したアロンソ

 しかし、このあたりから徐々にシリーズの軸となっていったのはアロンソ。第8戦のヨーロッパで今季初めて2勝目を飾ったドライバーとなってランキング首位に立つと、イギリスではウェバーが勝利も、ドイツで再びトップでチェッカー。夏休み前の前半戦を締めくくるハンガリーではハミルトンが2勝目をマークしたが、3勝を挙げたアロンソが164ポイントとし、2番手ウェバーに40ポイント差でランキングトップに立っている。

 未勝利ながら不気味な存在であるロータスのキミ・ライコネンやロメ・グロジャンを含めたランキングトップ8には、後半戦でまだまだ順位変動が起こるだろうが、アロンソが頭ひとつ抜け出していることは間違いない。悩める僚友フェリペ・マッサの援護射撃が心もとない中、決して優れたマシンとは言い難いフェラーリF2012を駆り、混乱の元凶とも言えるピレリタイヤを高いレベルで安定して乗りこなしているからこそのポイントリーダーという現在のポジションは、アロンソの非凡さをあらためて内外に知らしめることとなった感が強い。

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著者プロフィール

1966年生まれ。大学卒業後、趣味で始めたレーシングカートにハマり、気がつけば「レーシングオン」誌を発行していたニューズ出版に転職。隔週刊時代のレーシングオン誌編集部時代にF1、ル・マン、各種ツーリングカーやフォーミュラレースを精力的に取材。2002年からはフリーとなり、国内外の4輪モータースポーツを眺めつつ、現在はレーシングオン誌、オートスポーツ誌、CG誌等に執筆中。自身のブログ“From the Paddock”(スポーツナビ+ブログで)では、モータースポーツ界の裏話などを披露している

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