「1+1を無限大に」ロッテが“混パ”抜け出しを狙う

千葉ロッテマリーンズ

ルーキーながらここまで打率3割3分3厘をマークしている鈴木大地 【写真提供:千葉ロッテマリーンズ】

「全員が好調であることは少ない。その時は、調子の良い選手がカバーすればいい」。今シーズン、西村徳文監督は何度かこう繰り返している。そして、今の千葉ロッテは、まさに指揮官の言葉を地でいく戦いを見せている。

 前半戦を42年ぶりの首位で折り返した千葉ロッテ。だが、7月31日に北海道日本ハムとの首位攻防戦に敗れ、5月11日から守り続けていた首位の座を明け渡してしまった。
 後半戦の18試合は、6勝10敗2分けと負け越し。8月14日の試合が終わった時点で、首位・北海道日本ハムに1ゲーム差の2位につけている。(成績は全て8月14日終了時点)

不調の投手陣を打線がカバー

 後半戦は、投手陣が不調に陥っている。
 右ひじに張りを覚えた唐川侑己と2軍で調整中のルーキー・藤岡貴裕が不在ながら、オールスター前まではチーム防御率が2.86、QS(クオリティスタート/先発投手が6イニング以上を投げて自責点3以内に抑えること)の達成率は65.4%だった。
 それが、オールスター後の18試合ではチーム防御率4.06、QSは33.3%まで下がっている。

 それでも2位につけているのは、打線がそれをカバーしているからだろう。後半戦のチーム打率は2割7分1厘で、パ・リーグトップの数字を残している。

 なかでも好調なのが、ホワイトセルだ。4月中旬から2軍で調整を続けていたが、7月16日に1軍復帰すると66打数24安打(打率3割6分4厘)、5本塁打、17打点と大暴れ。7月27日からは4番として、打線を引っ張っている。

戦線離脱した根元の穴をルーキー・鈴木が埋める

 8月上旬には2人の中心選手が戦列を離れるという不安材料もあった。今季、ショートのレギュラーを確保した根元俊一が8月1日の試合中にスライディングで左ひざを負傷。また、チームの要である里崎智也も右腕の張りを訴えて、ともに8月2日に出場選手登録を抹消されたのだ。

 このピンチを救ったのが、ルーキーの鈴木大地だった。
 ドラフト3位で東洋大から入団した鈴木は、6月2日に1軍初昇格。その後は代打・代走での起用に加え、井口資仁に代わってセカンドとしてスタメンに名を連ねるなど、ベンチの期待に応えてきた。
 8月2日からは戦線離脱した根元に代わって「2番・ショート」としてスタメン出場。今季は31試合で打率3割3分3厘の記録を残し、見事に根元の欠場をカバーした。

 鈴木は言う。「試合に出させてもらうのは、幸せなこと。打つ方は思ったよりも良いけど、守備では記録に残らないミスもあるので、まだまだです。この経験を今後に生かすしかないですね」

「和」の力で混戦を抜け出す

 好調な選手がチームを支えることで、2位に踏みとどまっている千葉ロッテ。ただ、3位・埼玉西武が0.5ゲーム差と追ってきており、ペナントレースはわずか1.5ゲーム差の中に上位3チームがひしめく混戦となっている。

 だが、この状況にも高橋慶彦ヘッドコーチは冷静だ。
「そりゃあ、独走するのが一番良いけどね(笑)。混戦になるのは仕方ない。ケガ人も出ているし、調子の浮き沈みもある。今が一番しんどい時期でしょう。ここをどう乗り越えるか、だね」
 そして、こう続けた。
「残りの試合は選手一人一人が精一杯やって、優勝に向かってみんなが一つになっていかないといけない。算数では1+1は2にしかならないけど、野球が面白いのは、1+1が無限大になること。西村監督のいう『和』とは、そういうことだと思うよ」

 8月12日には里崎と根元が出場選手登録され、戦列に復帰した。また、8月14日の福岡ソフトバンク戦ではグライシンガーが移籍後初の完投で約2カ月ぶりの白星を挙げ、外国人投手としては初めて12球団から勝利を記録するなど、明るい話題も多い。

 ペナントレースは第3コーナーを回り、最終コーナーに差し掛かろうとしている。優勝というゴールに向けては、ここからが正念場だ。千葉ロッテは「和」の力で1+1を無限大にして、混戦から抜け出していく。

<了>
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