五輪の亡霊と戦い続けるブラジル=2年後のW杯に暗雲漂う
才能豊かなタレントはそろっていたが
フッキ(黄)らA代表の主力選手を招集したが、金メダル獲得はならなかった 【Getty Images】
そのネイマールに加え、両サイドバックにはマンチェスター・ユナイテッドのラファエルとレアル・マドリーのマルセロ、センターバックには今夏ミランからパリ・サンジェルマンに移籍したチアゴ・シウバ、中盤には近い将来にスター選手になるだろうオスカルとサントスでネイマールとともにプレーするガンソ、前線には6得点を挙げ大会得点王となったレアンドロ・ダミアンがいた。
しかし、今大会でブラジルが見せたサッカーは得点力こそあるもののゲームの構成力に欠けるもので、1次リーグ突破に苦労しただけでなく、ホンジュラスとの準々決勝では2度のリードを許すなど冷や汗をかかされた。それでも韓国を3−0で破った準決勝の後には多くの人々がW杯の必勝パターン、つまり決勝で最高の試合をして優勝を遂げることを期待しはじめた。
だが現実は違った。豊富なキャリアを持ち、冷静沈着かつ厳格な監督であるルイス・フェルナンド・テナ率いるメキシコは非常に手ごわい相手で、開始から1分もたたずにオリベ・ペラルタに先制点を決められてしまう。
巧妙なメキシコはこのリードを後半まで保った後、再びオリベ・ペラルタのゴールによりリードを2点に広げた。一方のブラジルはピッチのあらゆるところで厳しいプレッシャーをかけてくる相手のプレスに苦しんで自分たちのプレーを見失い、終了間際にフッキのゴールでわずかな希望を見いだすことしかできなかった。
思わぬ敗戦でメネゼス監督の進退も危うい
今回の敗戦は厳しい反響をもたらすかもしれない。これまで大きな成功(11年のコパ・アメリカも不振に終わった)を手にできておらず、何人かのベテランを加えて13年に地元開催のコンフェデレーションズでばん回を期す若いチームに対する信頼はもとより、14年W杯そのものへ向けた期待感も損なわれかねない。
すでに一部メディアから疑問の目を向けられていたマノ・メネゼス監督は、果たして続投するのだろうか。今回のメキシコ戦の予期せぬ敗戦は指揮官の任期を縮めることになるかもしれない。W杯では同じく地元開催だった50年大会の決勝でウルグアイに痛恨の敗戦(1−2)を喫しているだけに、次回こそは何が何でも勝たなければならないからだ。
いまだ金メダルに手が届かないに五輪サッカーについては、16年のリオデジャネイロ五輪に向けて新たなページをめくる時が来た。同じく地元開催となる4年後の大会に向けては、新たな選手たちをベースに、新たな希望がもたらされるはずだ。
<了>
(翻訳:工藤拓)