「火の鳥NIPPON」韓国下し28年ぶりのメダル獲得=女子バレー 

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最終メンバーから外れた石田(13番)のユニホームと一緒に記念撮影する選手たち。強い結束力で28年ぶりの銅メダルを勝ち取った 【Michi ISHIJIMA】

 「火の鳥NIPPON」がついに五輪のメダルを手に入れた。現地時間11日に行われた女子バレーボールの3位決定戦で、日本はセットカウント3−0(25−22、26−24、25−21)のストレートで韓国を下し、銅メダルを獲得。ロサンゼルス五輪以来28年ぶりのメダル獲得となった。

 準決勝のブラジル戦ではほとんど何もさせてもらえず完敗した日本。しかし、メダル獲得のために負けられない一戦で、再び勝利への執念を見せた。第1セット、第2セットともに序盤の大量リードから終盤に連続ポイントを許して追いつかれるという嫌な展開。しかし、土壇場で突き放して2セットを連続でもぎ取ると、最終セットも19−19からしぶとく拾って攻撃につなげ、一気に突き放した。

大活躍の迫田「ミホ(瑞穂)の力も借りて勝てた」

 打倒韓国へ、真鍋監督は「韓国戦では江畑(幸子=日立)よりも決定率、効果率ともに高いデータが出ていた」ことから迫田さおり(東レ)を先発で起用。これが大きく当たった。第1セット序盤から思い切りのいいスパイクでリズムを作り、強烈なバックアタックをたたきこむ。エースの木村沙織(東レ)がマークに遭う中、それをフォローするように、終盤の踏ん張りどころで何本も効果的なポイントを挙げた。

「実は、迫田をスタメンで起用するとあまり良くなかったんですよ。江畑と交代すると大活躍するというパターンだったんですけど、今回は迫田にかけようと」。真鍋監督は試合後、冗談交じりでそう明かしたが、迫田には奮起するモチベーションがあった。リザーブメンバーとして入っていた同期の石田瑞穂(久光製薬)が最終メンバーから外れて帰国。普段から仲の良い石田の思いと一緒に戦うべく、迫田は準々決勝の中国戦から石田のユニホームを重ね着してベンチ入りしていた。大事な試合で任された先発に「正直、不安や緊張もあった」が、チーム最多の23得点をマークする活躍で期待に応えた。「帰国するとき、チーム全員にお守りを作ってくれたんです。ミホ(瑞穂)の力も借りて、きょうは勝てた1勝だと思います」と笑顔を見せた。

エース・木村沙織、新たなステージへ

 一方、木村はこの日、スパイクこそ爆発せず11得点に終わったが、サーブと守備でチームをけん引した。第1セットも第2セットも、序盤の大量得点は木村のサーブが起点。サーブレシーブもミスを最低限に抑え、真鍋監督は「木村のサーブレシーブの安定があっての迫田の活躍」と黒子役となった木村をねぎらった。
 2009年に現体制となってから、チームの中心に据えられてきた。本人は「真鍋さんが思い描く選手にはまだまだなれていない」と謙遜するが、存在感は日に日に増していった。五輪後は日本を離れ、トルコリーグに挑戦することが決まっている。大会を通じて「もっと安定したプレーヤーになりたい。もっともっと成長したい」という思いが強くなったという日本のエースは、五輪メダリストという肩書きを引っ提げて、新たなステージに進むこととなった。

さらなる飛躍のための4年間

 5月の最終予選ではギリギリの戦いで出場権を獲得し、五輪本番への不安を露呈した日本。そこから2カ月余りで乱れたサーブレシーブを修正し、大会が進むにつれてコンディションを上げ、大事な試合で集中力を発揮した。
「日本は背が低いので、結束しないと勝てない」と真鍋監督が話す通り、190センチ台がそろう相手に対して全員が拾ってつなぐバレーを展開。絶対的エースのキム・ヨンギョンを直接止めるのは至難の技だったが、それ以外の選手の攻撃を抑えることでキムのイライラを誘い、ミスを引き出した。

「メダルがあるのとないのとでは全然違う。絶対に(メダルを)持って帰りたい気持ちでいっぱいだったので、全員が強い気持ちで戦えた」と試合を振り返った木村。本当に欲しかった色とは違ったかもしれないが、勝たなければいけない試合で勝ち切った経験は大きい。この日の勝利を足掛かりに、さらなる飛躍のための4年間がスタートする。

<了>

(取材・文/根岸理恵)
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