澤「チャンスがあれば、やれるところまでやりたい」=帰国後、監督&選手コメント
大会を終え、「ひとつの仕事をやり遂げた安堵感はある」と心境を語った佐々木監督 【スポーツナビ】
佐々木則夫監督は「ひとつの仕事をやり遂げた安堵(あんど)感はある」と、現在の心境を語った。また澤穂希は今後について問われ、「サッカーが楽しくて、まだまだやれるまではやりたい」との思いを明かした。
以下は、佐々木監督と選手のコメント。
佐々木則夫監督
ここまでの成長を含めての達成感はあるので、その中でひとつのサイクルをみんなと一緒に仕事してきた中で、スタッフ含めてよくやってくれたと思うので、そのサイクルが終わったときに、ふと力が抜けて「次は」というのはなかなか考えられない。ひとつの仕事をやり遂げたという安堵(あんど)感はあります。
(積み上げた中でやり残したことは)ワールドカップ(W杯)で優勝することで、強豪国と親善試合が常にできる環境が整った。強豪と対戦することで、今回のメンバー18名だけでなく、複数の選手が経験を積めたことは成長につながったと思います。ただ個の質を高めるという意味では、代表クラスの選手になってからでも、もっとできたらな、というのはあります。それ以外の強化日程については、この大会に向けて長ければいいというわけでもないので、その意味では問題なかったと思います。
(フォーメーションが変わったことについて)4−4−2というベースの変化は、流れの中で選手たちがかかわってこれるので、あえて4−1−4−1とか4−5−1とか(システム変更に)時間がなかったとは思わないです。逆に4−4−2をベースに「守備的な部分を充当する」とか「澤を攻撃に回す」とか、いろいろ対応してくれていたと思います。
(ここ数年で各国の女子サッカーが進化したことについて)アルガルベの親善試合なんかを見ていると、デンマークとかノルウェーとかが、僕が監督に就任する前は、前に蹴ってフィジカルで勝負するスタイルでベスト4に勝ち上がっていた。それが北京(五輪)での、われわれのゲームがセンセーショナルだったと思います。それから彼女たちも変わってきて、ボールを動かすとか、スキルを重んじるとか。まだノッキングはしていますが、北欧勢もそういう傾向になりつつある。
ですから、ああいうフィジカル(能力)の高い選手たちが、本当にスキルを重んじるようになったら、今度はなでしことしては、身体能力のある選手が加わる中で、スキルを重んじながら、なでしこらしいサッカーを構築していくという。向こうが上がれば、こっちも上がるという環境の中で、女子サッカーもスペクタクルな男子のようなサッカーになっていくというのは間違いないと思います。
澤穂希(INAC神戸レオネッサ)
澤は今後について「チャンスがあれば、やれるところまでやりたい」との思いを口にした 【スポーツナビ】
(決勝での失点は)早い時間帯での失点だったので、そこは課題として残りましたけど、なでしことしてやれることはできていたので、そこは成長として感じていました。五輪の中では一番いい試合ができたんじゃないかと思います。
(W杯とは違い、今回はキャプテンではない立場で臨んだが)そんなに違いはないです。宮間選手は本当に責任感が強いですし、チームのためにオフのところでもいろんな選手に目配りしてくれて、本当に彼女が頼もしく感じられました。
(代表引退という話があるが)皆さんが勝手に、というか、わたし何も言っていないんですけど(笑)。サッカーが楽しくて、まだまだやれるまではやりたいというのが正直なところなので。現役を引退してしまうと、やりたいと思ってもできない。カズ(三浦知良)さんと対談させていただいたときにも、すごくいろんな刺激を受けました。カズさんのサッカーを持続させるためのプロ意識とかすごく勉強になったし、「やれる間はサッカーを続けたほうがいい」というお話もいただきましたので。今すぐ、来年のこととか考えられないですけど、やれる間はやりたいと思っています。もちろん、代表に選ばれればの話ですけど(笑)。わたしだけで決められる話ではないし。チャンスがあれば、やれるところまでやりたいです。
宮間あや(岡山湯郷Belle)
「みんなの思いが入っていると思うと、さらに重く感じる」とメダルの感触を語った宮間 【スポーツナビ】
(決勝のあと号泣していたが)最後の1秒まで何が起こるか分からないのがサッカーなので、最後まで同点にと思っていたので(敗戦が決まった瞬間は)本当に悔しかったです。自分で言うのは嫌ですけど、それだけこの大会には懸けていましたから。
(試合後、澤が代表から引退することをほのめかしていたが)いや、言っていないって、言ってましたよ(笑)。(次のW杯まで3年あるが)何も考えてないです。(今日は)岡山に帰ります。帰ったら温泉に入ります。
(メダルをかけている感触は)自分の手で持った重みより、みんなの思いが入っていると思うと、さらに重く感じますし、いろんな方に見てもらって、触ってほしいと思います。
大儀見優季(1.FFCトリビューネ・ポツダム/ドイツ)
大儀見は「新たな自分を表現できた」と大会を振り返った 【スポーツナビ】
自分たちの中では、今までやってきた積み重ねという感じだったけど、周りの反応が今までとは違ってきているということは、去年から引き続き感じていた。多くの人が応援してくれるというのは、すごくうれしいことだし、その中でも本当に自分たちが(女子)サッカーのことを知ってもらえる存在でないといけないと思う。
(今後、世代交代が進めばチームを引っ張っていく立場になるが)まだどうなるか分からないですけど、年齢的にも経験的にも今いるメンバーで考えるなら、そういう立場になっていくと思うし、W杯が終わってからの1年間は自分の中でもそういったことを意識してきたことなので、若い選手たちにはもっともっと成長してほしいし、自分の成長も含めて自分自身がやっていかなければならないのかなと、この大会を通じてさらに強く感じました。
(大儀見という名前を認知してもらったと思うが)この大会は新たな一選手、一人間として挑みたかった。実際に終えてみて、過去に積み重ねてきたものに固執することなく、新たな自分を表現できたかなと思っている。これをきっかけにしたい。自分の新たな人生が始まったばかり。