“夢の祭典”が生んだ聖地ウィンブルドンでの9日間の奇跡=テニス
芝の帝王と呼ばれるフェデラー。聖地ウィンブルドンで迎える五輪で戴冠なるか 【Getty Images】
伝統を重んじ、格式を尊しとするウィンブルドンは、たとえ多少の不都合があろうと時代の流れに迎合するを良しとせず、発足当時からの決まりごとを守り続けることで、大会の“格”を築いてきた。だが、五輪会場となったウィンブルドンは、その100年を超える歴史の中で恐らく初めてであろういくつかの変化を受け入れている。ファンにとっても目新しい聖地の隠れた見どころや五輪ならではの豆知識を、いくつか紹介しよう。
生まれ変わった、伝統の芝
五輪用に芝の移植が行われたウィンブルドンのコート。世紀のイベントのために異例の対応だった 【スポーツナビ】
ところが今年は、7月8日にウィンブルドン選手権が終了したその20日後に、再び五輪が開催されるのである。このわずか20日の間で緑のコートを復元すべく、スタッフたちは最大限に努力をした。
その復元方法とは、基本的には「剥げた部分への芝の移植」である。準備はウィンブルドン選手権中にすでに始まっていた。まずは芝の種を、水やぬるま湯に約3日間つけて発芽させ、ウィンブルドン決勝が終わるや否や、剥げた部分へと移植する。さらに移植した後にも“特製シート”で覆って成長を促す処置が取られることに。シートを外した後は水を撒き、12日間かけて芝を10ミリの長さにまで育成。そして、五輪開幕の3日前に8ミリの長さに刈りそろえて、世紀の大イベントの日を迎えたのである。ただしこのコート、一部の選手たちからは「滑りやすく、普段の芝と全く違う」と不満の声も上がっているようだが……。
ドレスコードを破る、カラフルなウエア
キロメーター表示のスピード計
ロッカールームがいつもと違う
このように、ウィンブルドンの伝統と五輪憲章がうたう理念が合致したとき、さまざまな見慣れない景色があちらこちらで展開されている。それら全ては、恐らく今後二度とお目にかかれない“夢の祭典”が生んだ9日間限りの奇跡である。
<了>
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