超高校級DF植田を筆頭にタレントそろう大会=インターハイ2012展望

安藤隆人

注目のタレントが多くそろう大会

今大会注目度ナンバーワンのDF植田、長身を生かしたヘディングが武器 【安藤隆人】

 7月29日から長野県松本市で開催されるインターハイ(高校総体)。全国の予選を勝ち抜いた55校が一発勝負のトーナメントでしのぎを削る、真夏の風物詩がやってきた。
 今大会はタレントぞろいの大会と言っていい。宮市亮(中京大中京→アーセナル)、柴崎岳(青森山田→鹿島アントラーズ)、小島秀仁(前橋育英→浦和レッズ)、昌子源(米子北→鹿島)といったプラチナ世代ほどではないが、将来が楽しみなタレントたちが集結する。

 今大会の注目選手には、最高学年となった植田直通(大津)、室屋成(青森山田)といった昨年のメキシコU−17ワールドカップ(W杯)組を筆頭に、谷村憲一(盛岡商)、小塚和季(帝京長岡)、田村翔太、浅野拓磨(共に四日市中央工)、渡辺隼(静岡学園)、林大貴(立正大淞南)らが挙げられる。

J複数クラブから熱視線を受ける大津・植田

 中でもナンバーワンと言っていい植田は、185センチの長身を誇り、元テコンドー世界大会出場者という異色の経歴を持つほど、ずば抜けた身体能力を持つセンターバック。彼はサッカーを楽しめる理由の一つとしてヘディングを挙げるほど、空中戦に絶対の自信を持つ。バネを生かしたジャンプ力と、そして空中でためを作り、思い切りボールをたたく体幹と背筋の強さ、そして「いろんな相手とやることで、自分なりのタイミング、コツがつかめてきた」と話す駆け引きのうまさを誇る。

 この長所は世界でも実証済みだ。U−17W杯では不動のセンターバックとして、前5試合にフル出場。準々決勝のブラジル戦を含め、黒人選手が多いフランス、ジャマイカのアタッカー陣を相手に、空中戦ではほとんど負けなかった。

 もちろん、課題もある。「苦手なところは技術面ですね。まだ技術が全然足りないので、ビルドアップ能力を高めていきたいですね」と本人が語るように、ビルドアップやカバーリングなどの守備の細かい技術はまだ習得中だ。しかし、見るたびにその力は向上しており、全国レベルの大会やU−17W杯、U−19日本代表の遠征などを経て、しっかりと経験を積み重ねられている。

 今年はキャプテンに就任し、Jリーグの複数球団がしのぎを削る激しい争奪戦の渦中にあるが、「今はインターハイを獲ることしか考えていない。目標は『全国制覇』のみ。そこはもう大前提だと思っています」と、優勝への意気込みを語る。

 相当の負けず嫌いで、勝負事は勝つことにこだわる。このメンタリティーもプロ向きだ。だからこそ、相手が自分より実力が上であっても、まったく臆することなく向かっていき、結果として自分の技術を向上させている。高校ナンバーワンのセンターバックは、この夏でさらにたくましく成長してくれるはずだ。

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著者プロフィール

1978年2月9日生まれ、岐阜県出身。5年半勤めていた銀行を辞め単身上京してフリーの道へ。高校、大学、Jリーグ、日本代表、海外サッカーと幅広く取材し、これまで取材で訪問した国は35を超える。2013年5月から2014年5月まで週刊少年ジャンプで『蹴ジャン!』を1年連載。2015年12月からNumberWebで『ユース教授のサッカージャーナル』を連載中。他多数媒体に寄稿し、全国の高校、大学で年10回近くの講演活動も行っている。本の著作・共同制作は12作、代表作は『走り続ける才能たち』(実業之日本社)、『15歳』、『そして歩き出す サッカーと白血病と僕の日常』、『ムサシと武蔵』、『ドーハの歓喜』(4作とも徳間書店)。東海学生サッカーリーグ2部の名城大学体育会蹴球部フットボールダイレクター

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