関塚ジャパン、狙い通りではなく“勝ってしまった”2連戦

栗原正夫

テストマッチの結果に意味はない

メキシコ戦の終盤、見事なボレーで決勝点を決めた大津(赤) 【Getty Images】

 21日、日本はメキシコに2−1と勝利を収め、1−0で勝った18日のベラルーシ戦に続き、現地入り後のテストマッチを2連勝で終えた。

 勝利を収めた相手は、いずれもロンドン五輪に参加するチームだけに、大舞台を前にチームに弾みが付く勝利だったといえるかもしれない。だが、連勝の結果とは裏腹に、その出来を見る限り、チームへの期待がふくらまない現状もまた事実である。

 ベラルーシ戦は、本大会を前に帰国することになったバックアップメンバー4人を含め、第2GKの安藤駿介を除く21人の選手がピッチに立つなど、戦術的な確認よりも、コンディション調整の意味合いが強く、その戦いぶりが本大会に大きな意味を持つことはないように思える。

 一方で、メキシコ戦はどうか。こちらも先のトゥーロン国際優勝国(※日本はグループステージ敗退)を相手に、日本としては「仮想・スペイン」をイメージして臨んだものの、今度はメキシコの方にコンディション調整の意味合いが強かった印象で、この戦いをもってして、五輪での上位進出に希望が見えたかといえば、そんなはずもない。

 いずれにしても、テストマッチはあくまでテストマッチであり、結果には大きな意味はない。過去を振り返っても、2006年ドイツワールドカップ(W杯)直前には、ジーコジャパンが地元ドイツと内容の伴う2−2のドローを演じて期待をふくらませたものの、終わってみればあえなく敗退という苦い記憶もある。

 10年南アフリカW杯にしても、準備段階では岡田ジャパンは強い逆風にさらされていたが、いざ大会が始まると本田圭佑を1トップに据えるなど、テストマッチではまったく見られなかった捨て身の策に打って出て、決勝トーナメントに進出するなど一定の成果を挙げたという例もあるだけに、言ってみれば大会が始まるまでどう転ぶかわからないわけだ。

 ただ繰り返すが、それでも現時点で本大会を見据えると、やはり厳しい現状が見えてくる。

連携面での不安は残る

 ベラルーシ戦では、指揮官のさい配に疑問がうかがえた。先にも触れたが、本大会を前にして、チーム作りに時間がないなか、11日に国立競技場で行われたニュージーランド戦に続き、バックアッパーを“積極的”に起用したことなどの意図は分かりかねるものがあった。

 ただでさえ時間がないうえに、吉田麻也、徳永悠平といったオーバーエイジ(OA)組を含め、このチームには加わって日の浅い選手が多い。90分フルにとは言わないまでも、可能な限り主力の連携面の強化や、本番を想定したなかでの調整ができなかったものだろうか。

 前半から一転して、ハーフタイムには6人もの選手交代を行い、その後も次々にメンバーを投入。最終的には杉本健勇の2試合連続のゴールで勝利を収めることになったが、それも結果オーライに過ぎなかったといえる。

 11日のニュージーランド戦では、齋藤学よりバックアッパーの米本拓司に多くの時間が与えられ、ベラルーシ戦でも62分に退いた権田修一に代わり、第2GK安藤ではなく、林彰洋がゴールマウスに立つなど、ともすると選手のモチベーションを失い兼ねないさい配が目に付いた(結局、メキシコ戦は権田がフル出場し、ベラルーシ戦に出たバックアップの林は帰国の途に就き、安藤がピッチに立つことはなかった)。関塚監督は選手起用について「状況を見て判断」と話すものの、あまりにも配慮がないように感じるのは筆者だけだろうか。

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著者プロフィール

1974年生まれ。大学卒業後、映像、ITメディアでスポーツにかかわり、フリーランスに。サッカーほか、国内外問わずスポーツ関連のインタビューやレポート記事を週刊誌、スポーツ誌、WEBなどに寄稿。サッカーW杯は98年から、欧州選手権は2000年から、夏季五輪は04年から、すべて現地観戦、取材。これまでに約60カ国を取材で訪問している

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