ウェバーとアロンソ、勝敗を分けた戦略の違い=可夢偉、痛恨のピットミスで入賞逃す
異なるタイヤでスタートしたウェバーとアロンソ
逆転で優勝を飾ったウェバー(左)と2位に入ったアロンソ 【写真:ピレリ】
1950年から始まったF1世界選手権の第1戦が行われた聖地シルバーストンは、金曜日から悪天候に見舞われた。7日の公式予選では大雨により1時間半の中断を余儀なくされるなど大混乱。しかし決勝では晴天に恵まれ、今週末初の本格的なドライコンディションで決勝レースを迎えた。
本来なら予選Q3でベストタイム記録時に使用したタイヤでスタートしなければならないが、予選と決勝でコンディションが異なる今回は、全車が自由にタイヤを選択する事ができる。そこでポールポジションのフェルナンド・アロンソ(フェラーリ)はハードタイヤ、2位のウェバーはソフトタイヤを選択。異なる戦略でレースを進める事になり、これが勝敗を分ける大きなポイントとなった。
週末の雨の影響で、コースの路面はホコリっぽく滑りやすい状況。いつもなら短時間で高いグリップ力を発揮するソフトタイヤが有利なのだが、今回はドライでの走り込みを各車ができなかったこと、そして雨上がりの滑りやすい路面でソフトもハードも大差がない状況だった。
そのため、スタート直後は防戦一方だったアロンソも徐々にペースを上げ、2位ウェバーを引き離す。劣勢になりはじめたウェバーは14周目に1回目のタイヤ交換を行い、ハードタイヤを選択した。翌15周目には今度はアロンソがピットイン、2セット目もハードタイヤでコースへと復帰した。この時点で両者の差は5.0秒。その後もアロンソは快調なペースで周回を重ね、5秒差をキープしたまま後半戦へ突入した。
最終ステイントでアロンソが失速
一方、ハードタイヤしか使っていないアロンソは次のピットストップでタイヤ交換義務を消化しなければならず、ソフトタイヤしか選択が残っていない。ハードタイヤと比べると寿命の短いソフトタイヤの使用時間を少しでも減らすため、37周目まで我慢してピットイン。差は縮まったものの、ウェバーの3.9秒前方で今季3勝目に向けて最後のスティントに入った。
前回ヨーロッパGPに続き、2連勝が確実になってきたアロンソだったが、ソフトタイヤに変えてから思うようにペースが上がらず、ウェバーに差をつめられ始める。ここに来て新しいタイヤで走り始めはペースが上がらないというフェラーリマシンの特徴が出てしまった。さらに、連日の雨でソフトタイヤで十分な走り込みができていなかったことも重なり、最終的に大きなロスにつながってしまった。
これをチャンスと見たウェバーは一気に追撃。48周目のターン6でアロンソをかわし、逆転で今季2勝目のトップチェッカーを受けた。
ランキング首位のアロンソが2位に入ったため順位の入れ替わりはなかったものの、トータル119ポイントに伸ばしたウェバーは、その差を13ポイントに縮まった。