光星学院と聖光学院の戦力が際立つ、大谷擁する花巻東も=北海道・東北地区地方大会の見どころ

松倉雄太

青森大会の本命・光星学院を引っ張る北條。選抜では大阪桐蔭の藤浪から左中間に適時二塁打を放った 【写真は共同】

 第94回全国高校野球選手権大会の代表校を決める地方大会が沖縄を皮切りに始まった。日程通りに行われれば、7月15日に沖縄で最初の代表校が決まり、同29日に全49代表校が出そろう。ここでは甲子園の切符をめぐる球児たちの戦いを展望する。

選抜出場の女満別が有力も混戦模様=北北海道

 選抜出場の女満別高などが有力候補に挙がるが、秋と春の全道大会では南北海道勢が上位を独占したこともあり、北大会は混戦模様の状況だ。
 女満別のエース・二階堂誠治は、選抜の九州学院戦高で好投したように、北海道では屈指の好右腕。チーム全体も、甲子園を経験したことによる成長や、1年生が多く入部したことで活気付いている。勢いに乗って春夏連続出場を狙いたい。
 全道で秋春と勝利を挙げた武修館高も初の甲子園を狙う力は十分。投手陣はエースの伊藤慎一を中心に継投で、打線は強打の3番打者・片島大貴と主将の長沢琢朗が引っ張る。
 旭川勢では、春の全道で旋風を巻き起こした旭川西高と、注目左腕の官野峻稀を擁する旭川工高が有力か。富良野高のエース・吉田拓也も昨秋の全道で躍動した好投手だ。
 昨夏の甲子園に出場した白樺学園高、来年度末での閉校が決まっている駒大岩見沢高などの私立勢も侮れない。

札幌勢と北照の争いか=南北海道

 春の全道大会で4強を独占した札幌勢と、選抜出場の北照高の争いか。
 春を制した北海高は、玉熊将一と西村拓真の両右腕が安定感を増した。打線は中軸の松本桃太郎が中心になるが、春は新戦力も台頭し力強さを見につけた。
 全道で秋春ともに1点差で準優勝に泣いた札幌第一高は安定した戦いぶりが光る。投手陣ではエースの知久将人を中心に層が厚く。打線は主将の高石大全、3番の近澤征樹など好打者がそろう。
 北照は選抜、全道と初戦で敗れたが、力は上位。エース・大串和弥ら投手陣の踏ん張りが連続出場へのカギとなりそう。ここに札幌日大高札幌龍谷高札幌第一高が割って入る図式になるだろう。
 昨夏の南大会準優勝のメンバーが多く残った駒大苫小牧高は、秋春と室蘭支部予選で敗れ大舞台に顔を見せなかった。ただそれでも力はあると見る声が多く、不気味な存在だ。同じ室蘭勢では、鵡川高静内高北海道栄高などが有力視されている。函館勢では函館大有斗高がどこまで食い込めるか。

昨夏、選抜準優勝の光星学院が抜けた存在=青森

 甲子園夏春と準優勝に終わった光星学院高が、悲願達成を目指し、青森では抜けた存在。主将の田村龍弘、4番の北條史也、1番・天久翔斗らメンバーは春までと大きく変わらず、打線はやはり強力。投手陣は金沢湧紀、城間竜兵の2枚看板に、左腕の伊藤裕喜が台頭して厚みを増した。
 ライバルは昨秋の東北大会ベスト4・青森山田高になるだろうが、今春は部内不祥事で出場を辞退した。好打者の京田陽太ら、力のある選手がそろうが、夏へ向けてどれだけチームをひとつの気持ちに向かわせられるかかが大きなポイント。ノーシードだけに、序盤で光星学院と対戦するような組み合わせになれば、大会の行方に大きく関わるだろう。
 春の東北大会に出場した弘前学院聖愛高弘前東高の弘前勢が大きく力をつけてきた。大湊高八戸工大一高野辺地西高などの上位常連組も王者に待ったをかけたい。

大谷擁する花巻東と盛岡大附の一騎打ち=岩手

 東北大会での直接対決では共にエースを先発させなかった花巻東高と盛岡大附高の一騎打ちムードだ。
 花巻東はエースで主砲の大谷翔平が完全復活モード。春の東北大会では2試合を一人で投げ切り、スタミナ面でも夏へ向けて順調に歩んでいることを示した。同じ右腕の佐々木毅、左腕の小原大樹も控え、3年生の山根大幸も台頭してきた。課題は競った展開で大谷頼みを脱却できるかどうか。
 盛岡大附は左腕の出口心海が完全に一本立ち。県大会準決勝の花巻東戦では先発し、大谷を完全に抑えるなど無失点と好投した。打線は東北大会で2本塁打を放った1番・千田新平が核弾頭。足元をすくわれることなく、花巻東との最終決戦に持ち込めるか。
 秋春と連続準優勝の一関学院高が2強に続く。この春は2年生右腕の白鳥翔が急成長。県大会では2試合連続で完封を果たした。東北大会でも光星学院を3点に抑え、接戦を演じるなど、つかんだ自信は計り知れないものがある。
 秋3位、春4位と上位に食い込んだ盛岡三高、秋4位の盛岡四高などが、公立勢18年ぶりの夏へ虎視眈々(たんたん)と狙う。そのほかにも、高田高大船渡高など被災地のチームが上位に食い込めば、大会は大きく盛り上がる。

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著者プロフィール

 1980年12月5日生まれ。小学校時代はリトルリーグでプレーしていたが、中学時代からは野球観戦に没頭。極端な言い方をすれば、野球を観戦するためならば、どこへでも行ってしまう。2004年からスポーツライターとなり、野球雑誌『ホームラン』などに寄稿している。また、2005年からはABCテレビ『速報甲子園への道』のリサーチャーとしても活動中。

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