適切なレース戦略が上位進出のポイント=F1第8戦ヨーロッパGP見どころ
橋が存在する港湾の市街地
スペインのバレンシアで開催されるヨーロッパGP 【写真:ピレリ】
本来、F1は1国1開催が原則になっているが、スペインの人気ドライバー、フェルナンド・アロンソ(フェラーリ)の活躍により、2008年よりスペインで2レースを開催することになった。しかし、すでにスペインではバルセロナでF1が開催されていたため、バレンシアでのレースは「ヨーロッパGP」として行われる。
ヨーロッパGPの舞台となるのは、バレンシアの港湾地区に作られたバレンシア市街地サーキット。市街地サーキットではあるものの、コース幅は広く、高速になる長いストレート区間もあるため、モナコよりもカナダGPが行われるジル・ビルヌーブ・サーキットに似たコース設計となっている。
港湾地区にあるサーキットのため、F1が開催されるサーキットには珍しく、橋がコース上に存在する。この橋は旋回する形で可動できるようになっており、バレンシアの大きな特徴の1つになっている。また、コースとタイヤバリアや壁の間に、ランオフエリアと呼ばれる大きな空間が設定されている部分も多いが、コース脇に壁が迫っている区間もあり、油断はできない。
さらに、夏到来を控えたスペインでの開催ということもあり、気温が高くなりやすい。タイヤサプライヤーのピレリは、4種類あるコンパウンドのうち、中間の硬さであるソフトタイヤとミディアムタイヤを持ち込む。ソフトタイヤはタイヤ側面のロゴが黄色、ミディアムタイヤはタイヤ側面のロコが白。決勝では、雨用のタイヤを使用しない限り、この2種類のドライタイヤ両方を使用しなければならない。
追い抜きは困難、レース戦略が明暗を分ける
決勝で前を走るクルマのペースが上がらない場合、自分の方が速くてもコース上で抜くことは難しい。決勝は1つでも前の順位からスタートしたいところだが、今季のピレリタイヤは性能低下が早いことから、予選ではタイヤを温存するチームも出てきている。
決勝のスタート順位が下がることを覚悟して予選でタイヤを温存するのか、逆に決勝でタイヤ性能が落ちることを予期して予選から積極的にタイヤを使い、スタート順位を優先するのか、2通りの作戦がチームごとに見られることだろう。タイヤの性能低下を見極めつつ、レース戦略を組むことが上位進出への条件となる。