トーナメントチームの本領を発揮したドイツ=“死のグループ”を3連勝で1位通過
大会前は批判が相次ぐ
3試合で3ゴールと結果を出したゴメス(右)は“死のグループ”突破の原動力となった 【Getty Images】
CL決勝でPK戦の末敗れたバイエルン勢の心身におけるコンディションが心配され、さらにドイツが戦うグループリーグBは“死の組”。ポルトガル、オランダ、デンマークとどれも一癖も二癖もある相手ばかりだ。大会前に行われたビルト紙による「ドイツはどこまで勝ち進むか」というアンケートで「グループリーグで敗退する」との声も少なくはなかった。しかし、ふたを開けると他の優勝候補が苦戦する中、グループリーグを3連勝で1位突破してみせた。
3得点と結果を出したゴメス
フンメルスはもう1人のセンターバック、ホルガー・バドシュトゥバーとまるで昔からコンビを組んでいるように息の合ったプレーを見せた。1対1の対応に優れ、ヘディングにも強く、状況判断もいい。攻撃でも鋭い縦パスを通したり、長い距離をドリブルで上がりシュートまで持っていったりと、かつてのフランツ・ベッケンバウアー、マティアス・ザマーをほうふつとさせるプレーを披露している。1試合に1、2回ほど、ほんの一瞬気を抜いてしまい危ない場面を作られるのは問題だが、これは修正できる範囲。グループリーグ3試合を通してフンメルスはベストプレーヤーの一人に挙げられる。
ゴメスはグループリーグで3得点と結果を出した。ゴメスは優れた点取り屋だが、相手マークをぶち飛ばし1人でゴールを決められる選手ではない。そのため、ゴメスがいるチームには、ゴメスに点を取らせるというチームとしての方向性が必要になる。しかし、ここ何年間かドイツ代表のFWには攻撃の起点となるポストワーク、ポジションチェンジを繰り返しながら味方を生かすプレー、前線からの守備といったものが求められていた。長年エースに君臨していたクローゼはチャンスメークもつぶれ役もできるから、ほかの選手が攻撃に絡みやすい。それが結果としてクローゼもゴールを決められる要因になっていた。
そんなクローゼとのプレーに慣れているチームメートは、なかなかゴメスを生かしきれないでいた。しかし、ポルトガル戦で難しいヘディングシュートを決めチームを勝利に導くと、自信から動きに思い切りが出てきて、味方からのパスも来るようになった。2戦目のオランダ戦ではいずれもバスティアン・シュバインシュタイガーのアシストから立て続けに素晴らしいゴールを挙げ、勝利に大貢献。デンマーク戦でもルーカス・ポドルスキの先制ゴールをアシストと、機能するようになってきた。