トーレスの復活でスペインにうれしい悩み=スペイン 4−0 アイルランド

WOWOW

先発落ちしたセスクも意地の一発

 再三のチャンスを決め切れず1−0のままハーフタイムを迎えたことを除き、前半の出来はパーフェクトだった。対照的に、後半はボールロストの回数が増え、攻撃から守備への切り替えも多少遅くなったものの、肝心のゴールをしっかり決めることができた。

 49分、イニエスタのシュートをギブンがはじき、こぼれ球をシルバが拾う。冷静な切り返しで飛び込んだDFをかわしたシルバは、目の前にいる3人のDFの最後方に位置するダンの股下を通し、ゴール左隅に流し込んだ。

 この追加点で勝利をほぼ手中に収めた後、70分には得失点差でクロアチアを上回る3ゴール目が生まれる。シルバとイニエスタがハーフウエーライン付近でボールを奪い、シルバが素早く前方のトーレスへパス。フリーで抜け出したトーレスはイタリア戦でことごとく失敗したGKとの1対1を冷静に制し、周囲の批判を覆す2ゴール目を決めた。

 83分にはさらに、トーレスに代わって投入されたセスクが先発落ちのうっぷんを晴らすダメ押しのゴールを決めた。左ポストの内側をたたく豪快なシュートを決めた直後、怒りの言葉を吐きだしたセスクの姿を見て、デル・ボスケは心の中で微笑んだに違いない。

「セスクのことは4日前と変わらず信頼している。だが、われわれはほかの戦力を生かすことも考えなければならない。われわれには起用すればパーフェクトなプレーができる選手が23人もいるんだ」。指揮官は試合後、満足げにそう語っていた。

 今後もセンターFWを巡る議論は続くだろう。だが、重要なのは誰を起用するかではなく、起用された選手が結果を出すことだ。そして今のスペインには、出場すればゴールを決めてくれるセンターFWが少なくとも2人はいる。この試合で得た最大の収穫は、その事実を再確認できたことかもしれない。

<了>

文/工藤拓、提供/WOWOW

2/2ページ

著者プロフィール

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント