新生イタリアが見せた可能性=スペイン 1−1 イタリア

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プランデッリの狙い通りとなった前半

健闘をたたえ合うスペインのカシ―ジャス(黒)とイタリアのブッフォン(緑) 【Getty Images】

 ここまで面白い試合が見られるとは、正直期待していなかった。

 初戦から両チームの良さが存分に発揮される好ゲームになったのは、両指揮官の勇気あるさい配のたまものだろう。フェルナンド・トーレスか、アルバロ・ネグレドか。そんな戦前の話題を見事に裏切り、ビセンテ・デル・ボスケ監督はこれまでほとんど試したことがなかったセスク・ファブレガスをセンターフォワードで先発起用。一方のチェーザレ・プランデッリ監督も、パスサッカーの本家スペインを相手に堂々とポゼッション勝負を試みた。

 前半はイタリアの指揮官、プランデッリの狙い通りの展開となった。守っては3バックと両ウイングバックがつるべの動きでスライドしながら4バック、時に5バックに変形してボールサイドの数的優位を確保。攻めてはキープ力に長けるマリオ・バロテッリとアントニオ・カッサーノが前線で正確にポストプレーをこなし、彼らの落としを受けたアンドレア・ピルロやチアゴ・モッタが両ウイングバックに展開する形で丁寧に敵陣までボールを運んでいった。

 こうしてマイボールの時間を最大限に保ったイタリアのボール支配率は前半終了時点で43パーセント。公式戦でスペインのポゼッションが60パーセントを割ったのは久々のことだった。

 対するスペインはいつも通り、シャビ・エルナンデス、アンドレス・イニエスタ、ダビド・シルバ、セスクらテクニックに優れたペケニョス(ちびっこたち)が流動的にポジションを変えながらショートパスによる崩しを試みるのだが、長く乾いた芝にボールの勢いを殺され、思うようにパススピードが上がらない。それでも細かなパスワークにイニエスタの緩急つけたドリブル突破を交えた攻撃で何度かペナルティーエリア内までは侵入できたが、フィニッシュのところでは必ずといっていいほどイタリアDFの体を張ったブロックに阻まれた。

 逆にハーフタイム直前の46分、右サイドのクリスティアン・マッジョのクロスからニアに走りこんだモッタにフリーで合わせられてしまう。これはGKイケル・カシージャスの好セーブで事なきを得たものの、ロッカールームに向かう選手たちの険しい表情は思い通りにいかない状況をよく表していた。

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