クラッシュ多きコース、波乱の展開となるか=F1第7戦カナダGP見どころ
伝説のチャンピオンの名を冠したサーキット
昨年は雨の影響もあり、波乱のレースとなった 【写真:ピレリ】
カナダGPが開催されるのは、モントリオールのセントローレンス川に浮かぶ中州に作られたジル・ビルヌーブ・サーキット。カナダ出身の伝説的F1ドライバーであり、1997年のF1チャンピオン、ジャック・ビルヌーブの父であるジル・ビルヌーブの功績をたたえ、この名がつけられた。
サーキットのレイアウトは、長いストレートを低速のコーナーで結んだものになっている。ストレートの終わりで低速まで減速し、コーナーを抜けてまた加速を繰り返す、いわゆる「ストップ・アンド・ゴー」のサーキットだ。そのため、ストレートでの最高速、そしてブレーキング時の安定性が重要になる。
また、低速コーナーでは縁石をうまく使うことでタイムを短縮できるため、縁石を積極的に使えるようなサスペンションのセッティングも必要になってくる。そして、激しいブレーキングを繰り返すことから、F1サーキットの中でも特にブレーキに厳しいコースになっており、過去にはレース中にブレーキディスク(※放熱性に優れ、高速からの制動に特に威力を発揮するシステム)が割れてしまうというトラブルが発生したことがある。
ストレートと低速コーナーで構成されたコースであることから、前戦モナコGPと同じく最も軟らかいスーパーソフトタイヤと、その次に軟らかいソフトタイヤが持ち込まれる。スーパーソフトはタイヤ側面のロゴなどが赤、ソフトは黄色で書かれている。決勝では、雨用のタイヤを使用しない限り、この2種類のドライタイヤ両方を使用しなければならない。
クラッシュの可能性が高いレース
特に最終シケインには高い縁石が設置されていることから、少しでも縁石に乗りすぎてしまうと、バランスを崩してクルマのコントロールをできずにアウト側の壁に激突するというクラッシュが毎年のように発生する。過去にも歴代のF1王者の多くがここでクラッシュしたことから、ウォール・オブ・チャンピオンズ(王者の壁)という別名までついており、カナダの名物コーナーになっている。
また、セーフティカー導入の可能性が高いことから、セーフティカー導入にも対応できる柔軟な戦略にしておくことがレースの結果を左右することになるだろう。