ベルギーの新星ゴフィン、ブレークスルー間近!?=全仏オープンテニス第6日

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16強進出で涙、次戦はフェデラーと対戦

ベスト16に進出したダビド・ゴフィン。世界ランキング109位の21歳が快進撃を続ける 【Getty Images】

 全仏オープンではベルギーの21歳、ATPランキング109位のダビド・ゴフィンがブレークスルーを迎えようとしています。

 彼は予選3回戦で敗れたものの、ガエル・モンフィス(フランス)の棄権でラッキールーザー(以下LL)の権利を得て、本戦入りしました。四大大会の本戦は初出場です。1回戦でラデク・ステパネク(チェコ)を、2回戦ではアルノー・クレマン(フランス)をともに5セットで下し、大会第6日(6月1日)の3回戦でもルーカシュ・クボト(ポーランド)を破りました。21歳と186日は、現在、勝ち残っている男子選手で最年少です。

 LLのベスト16進出は、四大大会通算でわずか7人目、同じベルギーのディック・ノーマンが1995年のウィンブルドンで達成して以来、17年ぶりの快記録です。

 クボトとの試合が行われた7番コートには隣国ベルギーのファンが大勢詰めかけ、大歓声を送りました。公式発表では身長180センチですが、170センチ台半ばくらいに見えます。実年齢より2つ、3つ若く見えるので、会場ではジュニアと間違われるでしょうね。

 童顔、そして、華奢(きゃしゃ)な体で軽快にコートを走るさまは、2004年全仏のファイナリスト、ギジェルモ・コリア(アルゼンチン)を思い出させます。発想豊かに多彩なショットを打ち出すところもコリアに似ています。

 勝利の瞬間、ゴフィンは感激の涙を流しました。第1、第2セットともブレークダウンからの逆転。第2セットにはコートで転倒して出血の治療を受けましたが、盛り返しました。ベルギーの元選手で、1997年全仏4強のフィリップ・デブルフはTwitterで「Great effort and bright future(よく頑張った、将来有望だね)」とシンプルかつ最大級の賛辞を送りました。

 このゴフィン、4回戦では憧れのロジャー・フェデラー(スイス)と対戦するというのですから、このスター誕生物語、できすぎだと思いませんか?

 「僕の部屋にはフェデラーの写真がべたべた貼ってあるんだ。その選手とローランギャロスで対戦するなんて、信じられないよ」とゴフィン。もちろん、われわれにとっても楽しみな対戦です。

苦労人の活躍も話題に

 予選からの出場と言えば、この日、第1シードのノバック・ジョコビッチ(セルビア)に挑み、3セットで敗れたニコラス・デビルダー(フランス)。正直に言えば、私にとってもなじみの薄い名前です。

 彼はゴフィンとは対照的な経歴の持ち主です。1980年生まれの32歳。2006年に初めてトップ100入りを果たし、四大大会にも出場しましたが、09年、足首のねんざを押して全仏とウィンブルドンに出場したことで故障を悪化させ、回復までに丸3年。10年9月には699位までランキングを落としました。

 今大会は予選にワイルドカードで出場し、本戦進出を果たしたのですが、本戦1回戦、2回戦の相手がともに予選勝者でした。これをいずれもストレートで倒し、第1シードとの対戦を迎えたのです。けがで苦しんだ苦労人に、これ以上ないくらいの幸運が訪れたというわけですね。

 今大会では、もう1人の苦労人、米国の27歳、ブライアン・ベイカーの頑張りも話題になりました。彼もけがに泣き、5度の手術を経てカムバックを果たした選手です。今年のローランギャロスは、人情派の神様が見守っているのでしょうか。

<了>

<文・秋山英宏>
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